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報道 須賀毅

福島都心東区画整理の頓挫から見えるもの

 先日の福島市公共事業評価委員会で福島都心東土地区画整理事業の中止が決まった。空前の地価高騰に沸いたバブル経済時代に計画された同事業が頓挫したことは、低成長時代、少子高齢化、自治体の財政難という今の時代のニーズに合った街づくりが求められていることを象徴的に示している。
 土地区画整理事業は、昔ながらの不整形で狭い路地を再配置することによって、街を碁盤の目のように整備し、合わせて公園などの公共施設を適切に配置することなどによって良好な環境をつくることを目的としている。事業者による土地の買収や収用は行わず、地権者から一定の割合で土地を提供(減歩)してもらい、この土地を道路や公園の公共施設用地に充てる。したがって、減歩された分、各地権者の土地の面積は小さくなるが、土地が整形され、大きな道路に接するようになることで、1平方m当たりの地価が上昇することになるため、地権者は納得して土地の一部を提供する。
福島市仲間町地区
土地区画整理事業の中止が決まった
福島市仲間町地区
一方、事業者は減歩された土地の一部を「保留地」として確保し、第三者に売却するなどして事業費の費用に充てる。
 しかし、こうした事業は、地価が安定又は上昇している時代に適した土地開発の手法と言える。国土交通省の公示地価によると、福島都心東土地区画整理事業区域内の仲間町22−10の地価は、事業が採択された平成7年度当時で1平方m当たり265,000円であったのに対して、平成16年では94,600円にまで落ち込んでいる。割合にして35.7%だ。これでは、土地区画整理事業によって1平方m当たりの地価が上昇するといっても、事業期間中の下落率の方が大きくなり、地権者にとっては「土地の取られ損」になりかねない。また、事業者である福島市にとっても、減歩によって確保した保留地の地価があまりにも安くては事業費の捻出も難しくなる。
 福島市が実施した事業区域内の戸別訪問によるアンケートによると、88%の住民が事業継続に否定的な意見を示し、事業継続を望む声は3%にとどまったという。圧倒的多数で事業中止も止む無しといえるが、一方で事業中止後の街づくりの在り方を危ぶむ声もある。これまで、土地区画整理事業の予定区域ということで、建築物の建設などが制限されてきた。しかし、事業区域の制限が解除されることで、街の無秩序な開発が一挙に進行する可能性がある。また、事業の本来の目的である良好な街づくりが頓挫し、狭い道路が入り組んだ現在の状態が続くことは防災の観点からも決して望ましいことではない。
 こうした意見に対して、福島市は「中長期的なまちづくりの区域として位置付け、地区の特性や将来ビジョンを踏まえ、地域住民との協働により安全・安心のまちづくりを目指す」と説明するが、時期も手法も不透明なままだ。
 福島市に限らず、地価上昇時代に計画された土地区画整理事業が行き詰まっているケースは少なくない。バブル時代とはまったく様相の変わってしまった今という時代にマッチした街づくりの手法が求められている。(05.8.28)(報道 須賀毅)


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