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「綸言(りんげん)」が泣いている

建設メディア顧問
マスコミ人OB会福島ペンクラブ会長
元福島民報専務・編集局長 星一男氏
星一男氏

 天皇陛下のお言葉を戦前は「玉音」と言った。終戦時の玉音放送が有名である。もう一つ、「綸言(りんげん)」とも言う。ここから「綸言汗のごとし」という格言が生まれた。“君主が一度口にした言葉は出た汗のように二度と引っ込めることば出来ない”という意味だ。先にこの欄で紹介した「馳(し)も舌に及ばず」(四頭立ての最も速い馬車でも、いったん口から出た言葉には追いつけないのだ)と同じで、人の上に立つ人間の言葉を戒める格言である。
 ところが今、こんな格言などどこ吹く風、平気で次から次に前言を翻す偉いお方が続出中なのだ。現代の”君子”である福田総理大臣や大番頭の町村官房長官、舛添厚生労働大臣らが「年金照合を来年3月まで解決させる、と約束したことはない」と言い出したのだ。テレビ画面で見るかぎり、7月参院選で街頭に立った安倍前首相は明らかに「最後の1人、1円まで解決します」と叫んでいるのだ。現代の綸言である。その人が10月に自作自演のサプライズ人事で突然、総理大臣を辞めてしまったが、綸言は生きている。なのに後を引き継いだ現閣僚が口々に「解決する、とは言っていない」とか「選挙だから簡略して言っていたので、約束まではしていない」果ては「3月まで、ではなく未来永劫照合を続ける」などと、半ば開き直っているのである。

 大体、5000万件もの消えた年金が半年そこらで明快に照合出来ると思う方がおめでたいのだ。でも選挙に負けたくなくて、なりふり構わずの口約束だったとしても、出た口が口だけにその言葉は重いのである。蓋を開けてみて、こんなにも社会保険庁役人たちの仕事の杜撰さ、責任感の無さが酷すぎるのに閣僚連中がビックリ仰天していることを如実に物語っているのだろう。
 綸言とまではゆかないが、大連立の話に同意されず「辞める」と叫んだ小沢一郎民主党代表が2日後には辞意を撤回した。”次期首相にも“ という大物のなんと軽いお言葉か。もっと軽いと言うか、腹立たしいのはタレント弁護士橋下徹氏の大阪府知事選出馬劇だ。「2万%出馬することなんか無い」と断言した1週間後に出馬を表明した。その陰に何があったのか不明だが、察するに自民党の全面的なバックアップの約束でも取り付けられたんだろう。弁護士で頭は切れるんだろうが、テレビ番組では“行列ができる法律相談所”でも、こんな口軽タレントを大阪府民はまた選ぶんだろうか。横山ノック知事でイヤッと言うほど体験しただろうに。今年の漢字「偽」は綸言にまで及んでいる。(07.12.24)


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