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Home >斜め読み聞きかじり >2007/11/3

こんな酷い幻滅は初めてだ

建設メディア顧問
マスコミ人OB会福島ペンクラブ会長
元福島民報専務・編集局長 星一男氏
星一男氏

 防衛省の守屋武昌前事務次官がまき散らしている“呆れた役人行状記”には開いた口が塞がらない。実は彼が東北大の出身と知って、同じ大学で学んだ者として「我が後輩よ、よくぞ東大一色の霞が関で事務次官にまで登り詰めたものだ」と同窓の誼で陰で好感を持っていた。だから、この夏の小池百合子防衛大臣との退任を巡るさかいでは「女大臣なにするものゾ、頑張れ」と応援する気持ちで眺めていた。結局、安倍総理大臣の突然の“不可解”な辞任劇で女大臣の方は吹っ飛び、守屋次官も退任、というケンカ両成敗で終わった。

 ところが、である。辞めた守屋前次官の役人稼業の中身がこんなにもドス黒く塗り込められた悪徳役人の道を歩んでいたとは…。こんな酷い幻滅を経験したのは初めてである。「幻滅」とは「幻想から覚めて冷たい現実に帰り、がっかりすること」である。一国の国防を担って厳しい役目を遂行した優れた武将にも匹敵する文官、というこれまでのイメージはこっちが勝手に描いていた「幻想」だったのだ。昔から国防を担った高級軍人が疑獄事件を起こした例は数限りなくある。10月30日の毎日新聞「発信箱」では明治の元勲山県有朋の不正を取り上げている。山県が陸軍の巨額の公金を御用商人に融通、投機で焦げつかせた一件である。結局、商人に詰め腹を切らせて山県は不正追及を逃れ、間もなく陸軍卿になって近代日本の陸軍を築いて元老となった。明治5年の話だ。下って大正年間にはイギリスから軍艦を購入する際に起きた海軍大将の巨額の汚職事件シーメンス事件がある。戦後は何といっても田中総理大臣のロッキード事件か。悪事は悪事だが、いずれも規模は壮大だ。

 それに比べて、守屋次官サマのはなんだ、まるっきり私腹を肥やしただけじやないか。しかも夫婦でだ。悪妻のソシリは免れまい。タダのゴルフに、タダの宴会、道具まで貰ってその時はいい気分だったろうが、一国の国防を実質的に任せられる人物としては誠に情けない。「こういう時に“慨嘆する”という言葉を使うんだろうなア」とやり切れない思いだ。それに、たちまち週刊誌があーだ、こ?だ、と書き立てている中で、「東大出身にコンプレックスを持ち続けた役人生活」というのがあった。”なんだ、やっぱり、東北大出身の劣等感を抱いていたのか”と一挙にダメ後輩になってしまった。接待した相手方だって商売抜きで身銭を切ったわけではあるまい。この先にドヒャッとする隠し事があるやも知れぬ。この人がやった、庁から省への昇格は早すぎたようだ。(2007・11・5)


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