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また出た「マスコミ砂上楼閣」

建設メディア顧問
マスコミ人OB会福島ペンクラブ会長
元福島民報専務・編集局長 星一男氏
星一男氏

 またまたミーチャン、ハーチャン向けの映像や記事で人気者を作り上げるテレビ番組やスポーツ紙の手で、18歳の少年が天井から奈落の底に転げ落とされた。言わずと知れた亀田大毅のことである。もともと父の史郎トレーナーのもと3兄弟がボクシングのチャンピオンを目指して精進してきたことは天晴れなことだ。兄弟愛も豊かで称賛すべき一家なのだ。だが試合に出る度に勝利する、それをマスコミは必要以上に持ち上げる、ミーハー族がもてはやす…。結果は、それを真に受けた年端もいかない少年が世の中を甘く見、怖いもの知らずの“井の中のカワズ”になるという、いつものパターンが実現する。亀田家ではトレーナーの父親まで同類項だったから、ひときわ目立ったのかも知れない。

 いつの間にか、ボクシングが神聖なスポーツであることを忘れ去っていた。リングは自分のパフォーマンスで皆にもて囃される場であり、必ず勝って莫大なギャラが転げ込んでくるおいしい場所と思い込んでいたに違いない。だから仮にも世界チャンピオンの内藤を相手にして「負けたら切腹する」などとぬかす。試合当日には”浪速の弁慶”などと気取って、その恰好でリングに上がって傍若無人の振る舞い。こういうバカに付ける薬は無い。そして、肝心の試合の方はどうだ。的確なパンチで点数をかせぐチャンピオンに対して、大毅は頭から突っ込んでいく戦法しかとれない未熟さ。しかもクリンチや倒れ込んだ中で大腿部打ちや目突きなどの反則を連発する。12ラウンドではとうとう内藤を抱き上げて投げてしまった。この場面に「なんだい、こりゃア、レスリングやってんじゃないゾ」と、思わずテレビ画面に叫んでしまった位だ。史郎セコンドが「反則をけしかけたことは無い」と後で弁明しているが怪しいもんだ。

 こうしてマスコミが作り上げた”英雄”は無残にメッキがはがれ10月17日にやっと謝罪に顔を見せたが、大毅は無言。一方、この試合を放映したTBSには非難が集中した。初めから亀田が勝つ、という前提での放映であり、解説者に据えた鬼塚勝也元スーパーフライ級王者もまた亀田一辺倒の解説ぶり。チャンピオン内藤に対して非礼極まりない言辞を弄し続け、アナウンサーも同調して亀田寄りがハッキリしていた。マスコミが作り上げ、仕上げるハラ積もりだった。鬼塚氏は自己批判したが、TBSからも一言あってしかべきではないのか。精神面が強調されるボクシングの試合で、くだらない若者を英雄にするため天下の大テレビ会社が先導していては「もう何をか言わん哉」である。(07・10・20)


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