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サプライズの自作自演

建設メディア顧問
マスコミ人OB会福島ペンクラブ会長
元福島民報専務・編集局長 星一男氏
星一男氏

 午後1時に衆議院本会議の開会ベルが鳴ろうという9月12日午前。驚いたねエ、びっくりしたねエ、安倍総理大臣がいきなり「辞める」って言うんだから。小泉前首相は“サプライズ人事”を連発し話題をさらい、小泉劇場を演出した。それにひきかえ、安倍さんは初めての組閣で総裁選の論功行賞とお友達で内閣を作り上げた。不安視や蔑視の意味での驚きは起こしたが、サプライズではなかった。これが短命内閣の元凶となったのだが…。参院選にべタ負けすると、今度は派閥重視の一見重厚な内閣にした。次々に派閥領袖を大臣にして万全を期した。羮(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹いたきらいはあったが「まあいいか…」と臨時国会で所信表明をやって、さあ行こう、という矢先の辞任表明である。最後に自分が主役で四方八方をびっくりさせる人事を演じてしまった。これこそ“自作自演サプライズ人事”と言うはかあるまい。

 新聞、テレビは一斉に安倍悪口で埋まった。無責任、卑怯、投げ出し、お坊ちゃん育ち、ひ弱さ露呈、ワンポイントずれた対応の連続・・・。中には「武士道ではない、臆病者だ」などと見当違いの非難をした外国新聞もあった。なぜ、病気だったことを辞任記者会見でハッキリ言わなかったのか、という批判も強い。辞任の理由がイマイチよく分からない記者会見だった。ここで正直に病気を告白して理解を得るべきだった。「それが安倍一流の美学さ」という同情論もあるが、美学で一国の宰相に辞められては、国民はかなわない。
 どっちを向いても安倍批判のさ中、「お疲れさま」と擁護する論調が一つだけあった。毎日新聞編集顧問の岩見隆夫さんである。我が国マスコミ界の大ベテラン政治記者。毎日新聞の持ちコラム「近聞遠聞」(9月15日付け)に「ストレス首相、お疲れさま」という一文を載せている。この中で安倍首相のまずかった第一はく政治とカネ問題や閣僚の失言への対応のずれ〉を上げた。

 どうしてうまくできなかったのか、それは安倍の人情と優柔不断、そしてカンの悪さが重なったからだ、と断じている。安倍内閣発足当時に7割あった支持が1年後には安倍を見放す世論が7割を超えるという、世論の激しい落差に振り回されもした。「でも」と岩見氏は続ける。「安倍は手を抜いたわけではない。全力投球し成果を残したものもある。お疲れさま。体力をつけ充電して再起を」と結んでいる。うむ、そういう見方もあるか。それにしても辞任タイミングの悪さはなんとも理解できんのだ。要らぬカングリが起きるのも当然だ。(2007・9・25)


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