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ガソリンと水の値段

建設メディア顧問
マスコミ人OB会福島ペンクラブ会長
元福島民報専務・編集局長 星一男氏
星一男氏

 愛車に燃料を入れる度に「ガソリンが高くなったなア」と思わずグチが口をついて出る。リッター90円の時代が懐かしい。でも、その後に立ち寄ったコンビニで500・ボトルの水とかお茶を買う。1本147円ナリ。こっちは別に高いとは思わない。アレッ!変じゃないのか。ガソリンがリッター140円で、水はその半分で147円。つまりガソリンの140円に対し、水はなんと294円なのだ。一瞬、今の物の値段のチグハグさに考え込んでしまった。

 このミネラルウオーターの需要が世界的に拡大しており、そろそろ問題になって来そうだ、という情報を目にした。月刊誌「選択」が6月号で指摘している。問題になっているのはミネラルウオーター増産による水資源の圧迫だ。アメリカのさる情報研究所によると、ミネラルウォーター(ボトル詰め水)の世界消費量が1997年から2005年の間に2倍以上に増え、最も急速に成長している飲料となっているのだという。その原因の大きな部分がBRICsの一員として、急速に経済成長を遂げているインドと中国での著しい伸びだ。この結果、インド・ケララ州では保水地の付近で井戸が干上がり2000世帯が生活用水を失った。アメリカでも水源地周辺で住民訴訟が相次いで起こされ、とうとう飲料会社が撤退したケースが出ている。日本では最も採水量が多い山梨県が「ここの水は地域の森林によって育まれた水だ」という理由を付けて、採水すると1リットル当たり0.5円を課税することを検討中だという。

   地球全体を考えれば、水資源が枯渇したり地球全体が水不足に陥ることはあり得ない。海にはそれこそ無限に水はある。しかし、地域的な偏りが現代版の水争いを起こしているのだ。中国では水をめぐる地域暴動さえ起きているというニュースもある。だが、目前にある商売の絶好のチャンスを見逃す業者はいない。国内の飲料メーカーは高まる需要に増産や輸入の拡大に奔走中だ。かくてガソリンの2倍の値段でも平気でペットボトルを買い、エイビアンなどという高価な水を飲む仕儀となる。かって、イザヤ・ペンダサンという外国人が「日本人は水と安全はタダで手に入ると思っている」と書いて日本人の価値観を皮肉った。その頃、日本を訪れたアラブの王様が雨を見て「雨か、我が国には石油はあるが水は無い」と呟いたエピソードが話題になった。その日本が石油の倍の金を払って水を飲む国に変わった。それは、文化が進歩した証(あかし)なのか、それとも民族の堕落なのか。山紫水明の4字が泣いている。(07.6.25)


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