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Home >斜め読み聞きかじり >2007/6/15

曖昧模糊のサミット宣言にあきれる

建設メディア顧問
マスコミ人OB会福島ペンクラブ会長
元福島民報専務・編集局長 星一男氏
星一男氏

 昔から、ぼやっとしたり良く見えないことを「曖昧模糊」と表現する。曖昧は「ハッキリしない様子、あやふやなこと」、模糊は「本当はどういう形・姿であるか、はっきり見えない、分からない様子」である。同じ意味だが、2つ重ねることで意味を強調している。いきなり国語の時間になってしまったが、このほど終わったドイツ・ハイリゲンダムでの今年のサミット共同宣言を聞いて、真先の浮かんだのが“曖昧模糊”の4字だった。「なんだい、こりゃ」と口を突いて出た共同宣言というのは、「2050年までに50%削減、を真剣に検討する」というものだ。もう一度「なんだい、こりゃ」と言いたくなるような訳の分からぬ、考えようでは全世界を小馬鹿にした内容である。

 2050年はいいが、50%削減って、何の50%なんだか分からない。京都議定書なら「1990年の二酸化炭素基準にくらべて」となっているが、その京都議定書のキの字も出てこない。もっとバカにしているのは「“真剣に検討”する」だ。世界を引っ張っていく首脳たちは、常に命を懸けて真剣に政治を進めてゆくのは当たり前じゃないか。わざわざ真剣に、を入れるというからには、真剣でないことも多いからか。“検討する”は、既に耳にタコが出来ている。政治家・役人の常用語の最たるものだ。役人が「検討する」と言ったらやらないことを意味している。「検討した結果、やりません」という回答が、それこそ50%以上の確率であるだろう。風光明媚なハイリゲンダムに集まって、旨いものを食って「なんか、合意することをまとめて発表しないとバツが悪いよ」ってんで、まとめたとしか考えられないような杜撰(ずさん)さだ。

 もちろん、その背景のことは分かっているつもりだ。アメリカのブッシュ大統領がいるからだ。米大統領がいないサミットなんて考えられないから止むを得ないのだが、事が地球温暖化、環境保全のことになると、米国はまるで駄々っ子だ。京都議定書で決められた二酸化炭素の削減目標7%をまだ受け入れていない。「経済発展」を葵の印箆にして、地球環境のことには全く耳を傾けないのだ。ところが世界の世論の高まりと、目にも見えてきた地球温暖化の兆候で今回サミットを環境問題中心にした。でもブッシュがいる。そこで、米国も飲める合意を模索した結果が曖昧模糊の合意となった、と見るべきだろう。京都議定書の対象にされていない中国の方が敏感で、「中国は発展と環境保持を両立させる」と声明を出した。今回は先進大国が中国に1本とられたネ。(07.6.14)


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