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Home >斜め読み聞きかじり >2007/6/2

安倍首相ば慙愧の念”と言ったが…

建設メディア顧問
マスコミ人OB会福島ペンクラブ会長
元福島民報専務・編集局長 星一男氏
星一男氏

 現職の大臣が自殺した。”末は博士か大臣ががひと昔前までの男の立身出世の目標だった。その「位人臣を極めた」ハズの農林水産大臣がこともあろうに完成したばかりの赤坂国会議員宿舎で首を吊った。いまどき、博士は掃いて捨てるほどいて、かっての価値とは比ぶべくも無いが、大臣もこんなに軽くなったのか、と慨嘆せざるを得ない。あれだけ政治資金の不正を追及され”なんとか還元水”が流行語になるほど火ダルマになっていた松岡氏だから…と思い当たるフシも大ありだが、いくら自殺者年間3万人と激増している日本とはいえ、大臣としての身の処し方に死を選ぶしか道は無かったのだろうか。
 この悲劇の報に接した安倍総理大臣は「慙愧の念に耐えない」と悲痛な面持ちで語った。この言葉じりを捉えて言うのではないが、”慙愧”とは「取り返しのつかない事をしたあとで悔やむとともに、自ら恥じること」の意である。安倍さんがこの意味を知っていで慙愧の念”と言ったとすれば「松岡大臣を庇い過ぎて、議会内はおろか自民党内にも公然と辞任要求が出ている松岡さんを守ることで、逆に板挟みにし死を選ばせてしまった」ことを吐露したことになる。何にしても政権にとって天王山となる参院通常選挙まで2ヵ月を切ったいま、安倍さんは最大のピンチを迎えてしまった。野球なら同点で9回裏、二死満塁、1打サョナラの場面に立つ主戦投手みたいなものだ。
 だが、問題は攻撃する野党側だ。サョナラ安打を打つか三振か。打者の方もいまいち不甲斐ない。安倍内閣の支持率が5月に入って40%を切る急降下を見せた。社会保険庁で5000万件に及ぶ国民年金のデータが無いという超ずさんな運営ぶりが明るみに出て、国民を憤慨させたのが最大原因だろう。この好機に大臣自殺が加わって一気呵成に内閣打倒といきたい場面なのに、野党各党の足並は揃っていない。木ばかり見て森を見ない野党ばかりなのだ。松岡自殺事件に対するコメントはどの野党も「説明責任を果たさないで…」としか言えない体たらくだ。反内閣活動は、中心の民主党が寄せ集め政党の弱点をさらけ出し、小沢剛腕党首でもどうにもなりそうにない。サヨナラヒットはこのままでは望むべくもないのだ。自民党政府は衆院での圧倒的多数を錦の御旗にして格差社会を作りだす法案を次々に成立させている。強権政治を思わせる現状に野党がストップをかけて欲しいのだ。今回の大臣自殺の見出しは「安倍政権が最大のピンチ」だが、もう1本は「野党こそ正念場迎える」だろう。 (07.5.31)


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