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バイオ燃料は本当に救世主か

建設メディア顧問
マスコミ人OB会福島ペンクラブ会長
元福島民報専務・編集局長 星一男氏
星一男氏

 穀物から創り出すバイオ燃料が大きな話題になっている。折からガソリンの値上げが続いていて、平凡な車通勤サラリーマンの懐に大打撃を与えている。このガソリンにサトウキビ、トウモロコシ、大豆から精製したエタノール(アルコール)を混ぜて使えば、二酸化炭素のリト出量が減って地球温暖化の救世主になる、との見方がもっばらだ。先頃から東京で売り出されたバイオガソリンは結局は値段は同じで、ただ地球に優しいことが救いなのだが・・。果して、本当に救世主になるんだろうか。と言うのは、その原料が実は人間にとっても極めて重要な食料だからだ。既にこの欄でも、世界の穀物貯蔵量が半分にまで減っていて、その原因の一つがアメリカ、プラジルでのエタノール生産が急増していることを紹介した。中国の備蓄量減は豊かになって肉食する人が増えたためとされるが、プラジルでのアマゾン密林の伐採はエタノールロ的のサトウキビ畑造りのためだ。地球に大量の酸素を供給するジャングルが裸にされ、作られたサトウキビは砂糖にならずにアルコールに化ける。これで地球に優しい行為になるんだろうか、との疑間を抱いてきた。

  そしたら、やっぱり毎日新聞科学環境部の元村有希子という優秀な女性記者がコラム「発信箱」で“やさしさの裏側"のタイトルで、この疑間を取り上げていた。書き出しはこうだ。「バイオ燃料は緑の救世主か、赤いニシンか」。この中の“赤いニシン”というのは米国CNNのホームページで見付た英語の見出しだそうで日本語では燻製ニシンのことらしい。西洋では「猟犬の鼻を麻痺させるほどのひどい臭い」を持つことから「世の中を攪乱させる」という意味に使われている。向こうにも“くさやの干物"があるらしい。バイオ燃料を大量に生産、使用することでなんか温暖化問題が一挙に解決しそうな気になってくるのだが、原料確保のため森林を伐採していけば新たな環境破壊問題に繋がる。有名な環境学者は「原料となる作物はこれから、自動車を持つ人々と、飢える貧困層の間で奪い合いになる」と警告、早くもメキシコでは主食トウモロコシの高騰に市民が反撃し騒乱を起こしたニュースがあったばかりだ。“赤いニシン"が社会を引っかき回すのかも知れない。一方では石油連盟が「石油の寿命が増えている」の見出しで可採年数が30年以上に伸びていることを強調する広告を出して“石油を知れば明日のイメージが変わる”と訴えている。地球温暖化を防ぐにはバイオか化石か、さあ、どうする!(07.5.10)


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