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独裁者ののし上がりと凋落

建設メディア顧問
マスコミ人OB会福島ペンクラブ会長
元福島民報専務・編集局長 星一男氏
星一男氏

 先に、東京電力の隠蔽体質がこんなにまで虫食っていたか、と驚きと嘆きの話を掲載したが、そのほかにも不祥事にまみれた大会社が続出している。日興コーディアル証券、パロマ、関西テレビ、不二家…。それぞれに不祥事の内容は一見違うように見えるが、よく見ると、そこには共通の病巣があったのだ。どこも”独裁体制”の果てにトップが「裸の王様」になっていたのである。

 各社に共通したところを見よう。不祥事を見つけたときの対応である。不祥事で沈んでいく会社は決まって、最初は不祥事を隠し、原因を現場に押しつけでトカゲの“尻尾切り”を図ろうとするのだ。不二家では昨年11月には工場のずさんな品質管理を掴んでいたのに、書き入れ時のクリスマスが終わるまで伏せていた。古い材料を使ったのは工場のベテラン担当者の独断、とされた。関西テレビでは「責任は孫請けの番組制作会社にある」と非を正面から認めようとしなかった。日興は取締役会で問題が監査役から指摘される重大事件なのに、記者会見では冒頭から「平社員の事務的なミス」と言い繕っていたのだ。
 つまり、病巣は不祥事そのものより、それを隠したり、自分の責任を認めようとしなかったりする会社の体質にあったのである。そして、こうした体質はトップヘの批判や忠告が無くなって独裁体制が出来上がった果てに、社員の社内常識が一般常識とかなりかけ離れたものになっていることに、だれも気がつかなかった状態を創り出していた。このかけ離れた常識では、「こんな程度の不祥事なら、問題じゃないよ。現場の責任にすれば簡単に一件落着サ」と思い込んでしまったのだ。最初は隠すことに腐心し、バレれば現場の責任にする、の流れが非難を何倍も大きくすることなど思いもよらなかったのだ。これは東京電力のエリート連中にも言える。

 こういった状態を別の視点で見ると、いろんな形はあるが”独裁体制”が出来てトップを「裸の王様」に仕立て上げ、そのトップはまるで神様みたいに「オレは全知全能だゾ」と思い込み、反対意見は退け、周囲はイエスマンだらけになってしまう。ここが不祥事の温室になり、事が露顕したときの初動動作を間違え、自浄能力の欠如をさらけ出したのだ。独裁者といえば連想されるのはヒトラーだろう。政権獲得後のヒトラーは強烈なリーダーシップで失業対策など諸政策で国民を心服させたが、その末路がご存じの通りだ。くれぐれも、現代のヒトラーにならないように。(07・4・13)


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