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Home >斜め読み聞きかじり >2007/3/28

こんなにも腐っていたのか

建設メディア顧問
マスコミ人OB会福島ペンクラブ会長
元福島民報専務・編集局長 星一男氏
星一男氏

 関西テレビ、パロマ、日興コーディアル、と大企業の不祥事続出で当方の感覚がかなり鈍らされていたハズだが、そこに出てきた東京電力福島第一原発での臨界事故隠しではむらむらと怒りがこみ上げてきた。日本でもトップクラスの企業と認めてきた東電の不正だけに、腹が立つのも倍増だ。下手をすると我々福島県民が犠牲になる"第二のチェルノブイリ"事故にもなりかねなかった臨界状態が「じつは29年前に起きていました」と今になって、しゃあしゃあと聞かされては、どう聶肩目でみても許されるものではない。しかも今回、東電側が発表した腹の内は、県民を思う気持ちからではなく「これ以上隠し事をしていて万が一バレでもしたら、それこそ信用は地に落ち、会社の破滅にも繋がりかねない。ならば、この際洗いざらい吐き出しておこう」という自己保身からのものであることは、会社幹部の言動からも明らかである。全てが"はじめに会社あり"の発想から出ている。性悪な会社と言われても仕方がない。
 29年前と言えば昭和53年だ。木村県政の汚職から福島県がようやく立ち直りつつあった時期である。浜通り電源立地は好調に進んでいた。その最中に「制御棒抜けによる臨界」が起こっていたのだ。そりゃ、この事故が素直に発表されていたら反原発運動の火に油を注ぐ、と誰もが思ったのかも知れない。
 「なら、隠してしまえ」と東電の社員たちは考えた。ここが優秀な大学出身エリートの駄目なところなのだ。重大な事故はすぐさま公表して事故の全容を知らせ、対応策を講じていること、以後の事故防止に万全を期すことなどを訴えた方が最初は苦しくても「さすが東電。迅速な対応と事故原因の究明で、今後も信頼が持てる」と企業イメージを高める結果に繋がるのだ。それを「隠す」ことにしか発想が繋がらないのがエリート社員たちの最大の弱点だった。とにかく電気業界だけでなく日本経済界のリーダーを何人も輩出してきた東京電力の中身が、これほど隠蔽体質にムシ食われていたとは開いた口が塞がらない。
 納豆ダイエットでデータ握造の関西テレビは視聴率至上主義に陥っていた。同社にはもちろん放送前の番組を事前チェックする仕組みはあった。しかしチェックする担当者は捏造を見つけるどころか、番組の出来映えを褒め、下請け制作会社に「この番組を海外のテレビ番組コンクールに出品したら...」と勧めていたという。隠蔽体質と視聴率至上主義体質。いま日本で吹き出している不祥事に共通するのは「本末転倒」の4文字だ。(2007・3・25)


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