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Home >斜め読み聞きかじり >2006/10/17

浮かび上がってきた「食料安保」

建設メディア顧問
マスコミ人OB会福島ペンクラブ会長
元福島民報専務・編集局長 星一男氏
星一男氏
 先日、仕事帰りの車の中でNHKラジオを聞いていたら「食料の中核であるトウモロコシなど穀物の世界の在庫率が下がりはじめており、1999年に30%あったものが、最近は16%まで落ちた」というニュース解説者の話が飛び込んできた。在庫率というのは消費量に対する在庫量の比率のことだ。これが下がるというのはストックしている量が減ること。だから30%から16%になる、ということは倉庫の中の穀物が半分になっていることを意味しているのだ。「ヘエー」とその時は聞き流したのだが、よく考えてみると時代が大きく変わってきている兆侯ではないのか。大きな変化とは「余剰から不足へ」という流れである。

 不足と聞いてすぐ思い浮かべるのはエネルギーだ。石油など化石燃料はあと4、50年で尽きてしまうデータが発表されたりする。そしてガソリン高のご時世である。トウモロコシやサトウキビからエタノール(アルコール)を作って価格高のガソリンに混ぜて利用する動きが北南米で広まってきた。米ブッシュ政権がエネルギー政策の一つとしてエタノール生産の倍増を打ち出した、というニュースもある。サトウキビからエタノールを作っているのはブラジルだが、毎日120キロリットルの工タノールを生産するのに2000トンのサトウキビが必要である。その栽培面積はなんと7000ヘクタール(7000町歩)という半端でない広さだ。こうしてサトウキビがエタノール工場に回され、それが砂糖の値上がりを誘っている。

 話が横道にそれたが、どうも食料備蓄の減少とエネルギー対策が結びついているようなのだ。さらに大豆やトウモロコシ不足に拍車をかけているのが、なんと中国の経済成長である。何故か。経済的に豊かになってきた中国人は食生活の水準が高まり肉をいっぱい食べるようになった。ここ10年で一人当たり60%増えた、という説がある。そこで食肉生産が盛んになる。食肉1キロ生産するのに必要な飼料をトウモロコシ換算でみると牛肉で11キロ、豚肉で7キロ、鶏肉で4キロだという。例の中国料理のことだ。肉好みがさらに広まれば輸出どころか大豆もトウモロコシも輸入に転ずることになる。日本があてにする食料輸入が難しくなっていくのだ。そこで食料自給率40%の日本としては、食料の安全保障を確保する時代を迎えた、と国民みんなが認識しなければならないのだ。
 間もなく、飽食によるメタボリック症候群の解消、なんて言っていられなくなる時が来るのかも知れないよ。(2006・10・15)


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