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Home >斜め読み聞きかじり >2006/10/6


 昭和22年から24年にかけて生まれた、いわゆる「団塊の世代」がいまモテモテだという。間もなく一斉に定年退職の時期を迎え、莫大な退職金を手にする。その前後の年に生まれた人を合わせて約1000万人という大きな市場が金融、旅行業界など、あらゆる業界の垂涎のマトになっているからである。
だが頭を痛めているところもある。厚生労働省である。団塊の世代が高齢者に仲間入りすると、医療費がかさむ。まごまごしていると医療財政が破綻しかねない、と気を揉んで、先手を打って先の通常国会で医療関連改革法案を成立させた。2025年まで見越したものだ。しかも、この改革は高齢者の自己負担額を限りなく現役時代のものに近づけよう、という方向なのだ。
 30年前ころは「老人医療の天国」でバラ色に包まれていた。70歳になればどんな治療をどんな金持ちが受けても医療費負担はタダ。ヒマをもてあましたお年寄りが病院をハシゴして歩き、待合室が井戸端会議の場になった。その後に、どんな治療でも1回500円という頃もあった。そして迎えたのが少子高齢化時代だ。老人が増えて老人医療費も毎年増えていく。厚生労働省が2006年8月未に2004年度の「国民医療費」を発表したが、総額は32兆1000億円と、史上最高額に達した。
 でも、この医療費水準はGDP(国内総生産)に対する割合が主要先進7カ国の中で最下位となった。これまで長い間、イギリスが最下位だった。日本が最下位になった理由は小泉改革で厳しい医療費抑制政策が取られたのに対し、イギリスではブレア政権が2000年以降に医療費増加政策に転じ、国営医療予算を着実に増やしたためである。小泉政権の5年間に行った抑制策は健康保険本人の3割負担、高齢者の1割負担、高額所得の高齢者は2割負担など、患者負担増に向けられ、その割合は急増し主要先進国で最高になった。つまり、日本は「医療費水準は最低、患者負担率は最高」という、きわめて歪んだ医療保障制度を待つ国になっているのである。そしてその“置き土産”とも言うべき更なる改革が6月の医療制度改革関連法の改正だったのである。今回の医療制度改革のポイントは@医療給付費のノビと国民の負担を均衡させる、として、国民全体の年間医療費を2025年までに国民所得の9%以内に抑えるA医療費の適正化推進として、これまでの「出来高払い」から「定額方式(DPC)」を取り入れるG公的保険給付の内容や範囲を見直すとして、主に高齢者の患者負担の増加を図ったC超高齢社会を展望した新たな医療保険制度体系の実現、などが挙げられる。
 このうち、団塊の世代の高齢者仲間入りを見据えた改革となるのが、高齢者の自己負担率のアップだ。老人医療費が増えつづける中、これを現役世代にばかり負担させることに限界がある、として今回改革では高齢者にも自分がかかった医療費に対して“応分の負担’を求めるのが大きな柱になっている。その1つは、高齢者でも現役並み所得者(年収620万円以上)は2006年10月から2割から3割に引き上げられた。これは2008年8月には年収520万円以上に引き下げられる。2つ目は、08年4月から70歳一74歳のうち現役並みより低い所得の一般の人でも窓口負担は今の1割から2割に倍増するというのだ。



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