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とうとう参拝したが一

建設メディア顧問
マスコミ人OB会福島ペンクラブ会長
元福島民報専務・編集局長 星一男氏
星一男氏
 今年の8月で最も注目された日、と言えば、やはり8月15日だろう。あの敗戦の日から61年目、つまり還暦を迎えたからではない。政権未期にある小泉純一郎総理大臣が果してこの日に靖国神社を参拝するのかどうか、が日本はおろか世界の注目を集めていたからだ。結果は・・・参拝した。これを巡って、いまだにいろんな論議が尾を引いている。意外だったのは、その直後に各新聞社が行った世論調査の結果だ。どの新聞でも「小泉靖国参拝」を肯定した人が50%を上回っていたことに、私個人としては少々びっくりした。国民の過半数が今回の参拝を「よかった」と認めたのだ。「公約をとうとう果たした」というあたりが国民の賛成を集めたのかもしれない。「やると言ったら、必ずやる男」を演じ切った男小泉の姿に「やると思えば、どこまでやるさ。それが男の魂じゃないか」という吉良の仁吉の「人生劇場」の主題歌を思い出した。小泉さんに一つの信念があったことは間違いない。靖国参拝はかっての日中戦争・太平洋戦争の惨禍を思い起こさせる。

 小泉さんは「だから、これからは絶対に過ちを起こさない、不戦を誓うために参拝するのだ」と主張する。だがアジア諸国、とくに中国、韓国から靖国参拝の度に激しい抗議が出され、外交を頓挫させてきた。両国とはいまだに首脳会談が開けずにいる。“政冷経熱"というねじれ現象が続く不自然さを作り出したままだ。そして、その声にたじろかず、中国、韓国の言いなりにならない不屈の男を演じて見せたのだ。
 でも、そんなことだけの執念だったら、その考え方は決定的な思慮を欠いている、と断じざるを得まい。それは国家指導者としての狭量さ、体系的な歴史観の無さ、である。これに加えて、今年は昭和天皇のメモが加わった。A級戦犯の合祀に対して昭和天皇が強烈な不快感を持たれて、合祀以後は靖国参拝をストップされたメモが発見されたのだ。小泉さんは前に国会で「A級戦犯は戦争犯罪人」と答弁している。にもかかわらず今回の公約実現を前に、天皇のお気持ちもふくめて「参拝する、しない、は心の問題」と一蹴した。どうも郵政民営化いらい、小泉さんの発言は分かりやすいのだが、どこか芯をはぐらかされていることがほとんどだ。大げさに言えば“たぶらかされている"のだ。一国の指導者が、いかに任期の未期だからといって、タンカを切って見栄を張って、中国の鼻をあかして喜んでいる場合ではなかろう。小泉政権は9月で終わる。“あとは野となれ山となれ”で、安倍さんは重い荷物を背負わされた。(2006・8・24)


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