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Home >斜め読み聞きかじり >2006/4/11

同じ"情報源の秘匿"でも質が違う

建設メディア顧問
マスコミ人OB会福島ペンクラブ会長
元福島民報専務・編集局長 星一男氏
星一男氏
 このところ、情報源の秘匿に係わる話が相次いだ。新聞記者の鉄則は「ニュースソースは決して他に漏らさない」にある。筆者も若い新聞記者時代から、この鉄則は守り通したつもりだ。世間から「どこから取材したんだ」と糾弾されるようなスクープ原稿をそんなに書いた覚えが無いせいもある?
 昭和40年代はじめ、当時の県知事木村守江(故人)から厳しく糾弾されたことが一度あった。木村新体制を築く県職員の大異動を行ったが、部課長合わせて100件近い人事を漏らさず発表当日の朝刊でスクープ、一面を人名で埋めて報道した。これを木村知事は「県職員の誰かがリーク(漏らす)した」と思い込んだ。実は前夜、県政担当記者5人が総カで担当課長宅を夜回りして1件ずつ聞き込んだ情報の集大成だったのだが、木村はキャップの筆者を呼びつけて「どこから取材した、誰が漏らしたんだ」と詰め寄った。あまりに見事なスクープで「意図的なリーク以外にない」とハナから考えたフシがあった。
 さて、現在の話だが「天下の読売も甘く見られたもんだ」との陰口がマスコミ界で囁かれている。先頃の東京地裁での判決で読売新聞が主張してきた「情報源の秘匿」(記者の証言拒否)が否定されたからだ。NHK記者も同じ事件で証言拒否し、新潟地裁、東京高裁がNHK側の主張を支持しているのに、である。確かに今回の東京地裁の判決は明らかに民主主義における報道の存在を根底から否定する"暴論"だ。「国家公務員からの取材は発表した以外は報道してはならない」となれば、お役人の悪さも不合理な税金の使い方も何もかも報道出来なくなるリクツになるのだ。とんでもない裁判官がいるもんだ。これこそ"木だけ見て、森を見ない"ダメ猟師と同じであろう。なのに「なぜ読売だけが否定されたのか」がナゾとして残された。付け込まれる様なスキが大新聞社にあったのか。いちど素直に自己検証が必要ではないか。
 この一方で、偽メールで天下を騒がせた自氏党の永田寿康衆議院議員はバカの一つ覚えのように「情報源は明らかに出来ません」を繰り返して、いたずらに傷口を広げ、民主党代表らの辞任劇まで起こしてしまった。新聞記者じゃあるまいし、何が"ニュース源の秘匿"だ。勘違いも甚だしい。大体、天下の衆議院予算委員会に持ち出すにしてはお粗末すぎる。「未熟・軽率・幼稚・無分別・不見識・非常識」という若さにまつわる悪ロー切を引き受けた偽メール事件と証言拒否は、全くの別次元の話であることを認識してほしいのだ。(2006.4・6)


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