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Home >斜め読み聞きかじり >2006/3/13

「楽しんだ」では困るんだ

建設メディア顧問
マスコミ人OB会福島ペンクラブ会長
元福島民報専務・編集局長 星一男氏
星一男氏
 トリノ冬季オリンピックが終わった。最後に女子フィギュアスケートで荒川静香選手が金メダルをとって何とか保ったが、一言でいえば大惨敗もいいところ。それも例によって事前に煽るだけ煽ったマスコミの悪行と、期待の十分の一も応えられない”ひ弱い”選手を送ったJOCの目の狂い、の悲しき二重奏だった。マスコミの煽りようは、その陰に紙面競争、視聴率競争がある。しかもマスコミの罪は、自分らの底の浅い取材力をさらけ出した点にもある。メダル有望と喧伝されたスノーボードのハーフパイプ国母和宏(17歳)成田童夢(20歳)今井メロ(18歳)は予選通過すら出来なかった。「金メダルも狙える一」と煽った根拠が世界選手権で上位に入ったからだという。ところがこの世界選手権には外国スノーボードのプロ選手は全く出場していないのだ。選手権でメダルをとったから、オリンピックでも」という浅はかな予想記事に踊らされ、テレビ画面で時の人よろしく再三紹介されてトリノに行ってみれば世界の強豪たちが大勢出場していた。それに加えて、我がヤング選手の方は日頃の滑りすら出来ず、転倒してケガしたり散々。そのひ弱ぶりを精一杯発揮してしまった。一体どういうことなんじゃ、と怒声の一つも出ようじゃないか。

 もう一つ、腹に据えかねることがある。表彰台にかすりもしなかった選手たちが、一様に「楽しみました」と発言していたことだ。これまでのオリンピックで負けた日本選手の悲痛な顔は見たが「楽しみました」なんて言葉は聞かなかったと思う。負けてサバサバした顔をするのはいいが、すっかり楽しまれてしまったんじゃ金をかけて送り出し期待をかけた国民としては、これまた「何じゃ、これは」と思うのが当然じゃないか。中でもジャンプ陣の不甲斐なさは目を覆った。一時はあまりの不振ぶりに「トリノヘの選手派遣は見送り」の報道もあったぐらい、かつての輝かしき日の丸飛行隊は今どん底なんだと思う。だが、スキーの長さ違反というベテランらしからぬミスで失格し、全くの記録無しに終わった原田選手がニコニコしながら帰国して「次のオリンピックにも出たい」などと発言するのは不遜ではないのか。37歳の人が次と言えば41歳だ。世代交代もいいところだろう。その辺を一体どう考えているのか全く解せない。こんな具合だから「メダル獲得率」なんて記事まで出された。韓国が選手40人でメダル11個(27.5%)、これに対し日本は111人で1個(0.9%)。もう、過去の実績をまるっきり捨てての再出発しかあるまい。(2006・3・10)


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