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新しい冷戦は米中対立だ

建設メディア顧問
マスコミ人OB会福島ペンクラブ会長
元福島民報専務・編集局長 星一男氏
星一男氏

 今回は少し気宇広大な話をしたい。隣国の中国がいま軍備拡張に精を出している。と言っても、私たち日本人にはピンと来ない方々が多いと思う。でも、これから述べる事実を知ったら、少しは目が向くかもしれない。軍備拡張の一つが原子力潜水艦の戦力増強なのである。10月に毎日新聞が一面トップで、「中国潜水艦は昨年11月末に日本周辺を通過してグアム島を往復した」と報じた。公海での航行は、簿気味は悪いが、どこのどんな軍艦が通ろうと仕方ないことだ。ところが台湾国防部が「これは日本と米国、台湾への挑発だ」といきり立ったのである。新聞では1回だけのニュースだったが、実は日本周辺での潜水艦活動は日常茶飯事で、昨年11月l 0日に起きた中国の漢級原子力潜水艦による日本領梅侵犯では「技術的な原因だった」と中国側が遺憾の意を表したものの“グアム特急便”は何べんも行われている、と見るべきなのだ。

 中国が今、保有している原子力潜水艦は、英国国際戦略研究所のミリタリーバランスによると69隻だそうだ。こう言ってもピンと来ない向きには、アメリカの原潜の数が72隻だ、と言えばお分かり頂けるだろう。世界の警察を自認し世界一の軍事力を持つ米国に次いで、中国が世界第2位の押しも押されもせぬ潜水艦大国なのである。この中国が軍事力の役割として5つ挙げている。1.中国本上の領上保全 2.台湾独立の阻止 3.中国近海の資源確保4.シーレーンの確保 5.アジアでの覇権の確立、である。1.はその通りで、日本だって自衛隊は国上を守る。2.は中国の最優先の政治謀題であり、仮に台湾を支配下に置ければ、中国艦船の軍事行動も自由にやれることになり4.とも関連する極めて重要な戦略なのである。3.は東シナ海での天然ガス開発の一件でも知れるように、産油国である中国が経済成長に伴って石油の純輸入国に転落している以上は、海底資源の開発は切羽詰まった命題なのだ。そして4.も石油の安定供給ルート確保である。
 問題は5.だ。中国はアジアでのトップとして、ここに覇権(ヘゲモニー)を確立して睨みを効かせる魂胆である。そのための現在の軍事力拡張なのだ。アメリカは既にこの先に「覇権国家中国」の姿を見据えている。米・中の新しい冷戦の時代が見通されているのだ。そして日本のウエイトは下がっていく。既に米国は中国に武器輸出をして稼いでいるイスラエルを桐喝して、違約金を払わせても武器輸出をストップさせた。同様にEU諸国にも同じことをやってゆくだろう。こうした視点を頭の隅に持っていて欲しい。(2005・12・1)


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