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圧勝の時代

建設メディア顧問
マスコミ人OB会福島ペンクラブ会長
元福島民報専務・編集局長 星一男氏
星一男氏

 9月11日の総選挙からもう2カ月近く経った。前に11月2日と言われていた小泉第2次内閣の改造人事が、いつの間にか前倒しされて10月31日に行われた。その内容については次回に譲るが、296議席という自民党の大圧勝ぶりに、曽って日本を悲惨な敗戦国に導いた「大政翼賛会」を連想し、そこはかとない不安を感じた、とこの欄で書いた。どうも、このバクとした不安がジワジワ国民の目に映るようなって来ている。

 いまの日本での共通現象は「圧勝」ではなかろうか。プロ野球の日本シリーズはパのロッテ・マリーンズが、なんとまあ物の見事にセの阪神タイガースを4ころで負かした。3試合が二桁得点という圧倒的な強さだった。これでは、さしもの大阪の熱血ファンも道頓堀川に飛び込む気力も失せ、“暴動が起きるかもしれないゾ"と心配されたミナミ繁華街も何事も無かったみたいだ。歯向かう気力を失わせるほどの大圧勝だったのだ。同じことが海の向こうでも起きた。ワールドシリーズも、井口のいるア・リーグ優勝シカゴ・ホワイトソックスがナ・リーグのアストロズ(ヒューストン)をこれまた4勝0敗で負かし、チャンピオンとなった。見事な圧勝である。そして競馬の世界でも、菊花賞でディープインパクトはぶっちぎりの強さで三冠馬になった。単賞配当がなんと100円の元返しだった。圧勝はまだまだある。パソコンのソフトはWindowsのシェアが96.2%。テーマパークはディズニーランドに2500万人。自動車はトヨタが920万台を売り尽くして世界のGMをの抜く勢いである。そして政治の世界は小泉一色。

 大分前から日本の社会は「イエス」か「ノウ」か、白か黒か、の両分極に分かれ、その中間の灰色が無くなっているとは言われていたが、ここに来て極めて顕著になったとの感が深い。自民党の圧勝は国民の選択の結果だから四の五の言えない。でも、どこか奇怪しいのだ。あの選挙では“理知的”でなく”情緒的”な投票、という評論があった。このことは裏を返せば「同調行動が雪崩現象的に起きた」ということだ。社会の中に常に不安があり、どうしたら解消出来るか分からない。だから“これがその答えだ”と言うと、分かりやすい答えばかり求めて付いてゆく。そして「勝ち組」と「負け組」もハッキリしつつある。一億総中流は崩れつつある。どっちを向いたら得か、の付和雷同が罷り通る時代。このままでいいのか。いまこそ本当の反骨精神が求められている。(2005・10・31)


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