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干からびたチーズ

建設メディア顧問
マスコミ人OB会福島ペンクラブ会長
元福島民報専務・編集局長 星一男氏
星一男氏

 この欄でも、歴史的な自民党の大勝利に触れないでは済まないだろう。なんという勝ち方なのか。単独過半数どころの騒ぎではなかった。296議席は重い。選挙戦に突入する前は、選挙毎に議席を増やしてきた民主党に“追い風が吹いている"とマスコミが喧伝し、民主党の面々も心底そう思っていた。もう一つ、自民党の郵政民営化反対組というか反主流派の面々も小泉自民党が勢力を削がれて、いよいよ俺たちの天下、とでも思ったに違いない。だが、ひとたび戦いに入るや、小泉さんの「郵政改革が出来なくて、なんの改革がやれるのか」「国会が郵政改革は必要なしと決めたが、国民がそう思っているかどうか、を知りたくて衆議院を解散したんだ」の一本槍の弁舌は追力があって分かりやすかった。一方の岡田代表は真面目だが面白味、人間味に欠け、しかも「政治は郵政だけではないんだ。年金も、財政も、イラクも、北朝鮮も−」と訴えながら、ついぞ郵政改革の民主党案を示さないで選挙に入った負い目は迫力を伴わなかった。日本を覆う閉塞感を打破してもらいたい国民は改革を待っている。まず郵政、でいいのだ。彼我の優劣は素人目にも知れた。

 この小泉大勝利の陰で、いま面白い話が永田町で言われているそうな。小泉劇場は小泉演出の純一郎主演で大ヒットしたが、その陰に大演出家がいた。それは森喜朗前首相だ、というのだ。小泉さんが解散を断行する前夜、森さんは首相公邸を訪ね、解散しないよう説得した。このニュースはテレビで見た人も多かろう。その際、森さんはカンビールとチーズを手にして「こんな、干からびたチーズしか出さないんだ。硬くて食えやしない。長い付き合いのオレにもこんなことしか、しないんだ」と嘆き、さらに「殺されてもいいから解散すると言っていた」と漏らした。この一語が自民党圧勝の最大原因だ、というのである。チーズで小泉さんのありのままの性格を、”殺されても一”発言で信念の強さを強烈にアピールし、この瞬間に大勝が決まったのだ。

 実は、あの‘干からびたチーズ’はミモレットというオランダ原産で、1年半ほど熟成して作る高級チーズ。目下フランスで大ヒット中だそうだ。森さんはそれを知っていたか、知らなかったのか、は分からないが、知っていたとしたら、それこそ日本の方向を決めた大演技ということになる。「森前首相の嘆く姿と、殺されても・・・の強烈な言葉が小泉首相の口から出た、とテレビが全国放送した。あれが全て」と永田町筋は断定している。そして、ひとり森派のみ勢力を拡大し最大派閥に躍り出た。(2005・9・22)


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