市民〔citizen〕と結ぶネットマガジン!
建設メディア「MEDIA」
Home >斜め読み聞きかじり >2005/6/10

また出た新語「メディアスグラム」

建設メディア顧問
マスコミ人OB会福島ペンクラブ会長
元福島民報専務・編集局長 星一男氏
星一男氏
 先にこの欄でJR西日本の呆れた企業体質と、その陰にひそむ「画一的な民営化移行への疑問」を取り上げたが、今回はこれにまつわる別サイドの、これまたちょっと困る話をしたい。
 一体、何時ごろから会社首脳がテレビカメラの前で頭を下げてお詫びする画面や写真が流されるようになったのだろうか。BSE牛肉をめぐる不正で日本ハムの御曹司社長を守るため、子飼いの専務等が平身低頭して「社長は何も知らなかったんです」と詫び続けた画面が今も目に焼きついている。21世紀にまだ残されていた封建社会を垣間見た。しかし東証1部上場企業の社長がこんな重大事件を知らされずにいられる会社って何だ、と別の批判も起きた。

 今回、JR西日本の惨劇で垣内社長以下の記者会見と毛の薄くなった頭を下げる場面が続いた。昔から‘大惨劇には連鎖反応があるよ’と言う。案の定、JR西日本のあとに今度は空の交通機関で不祥事が続いた。日航、全日空で管制塔の許可が無いのに離陸滑走を始めたり、搭乗12時間前からは禁酒なのにパイロットが守らずに操縦したり、食事の後片付けをしないで着陸体制に入ったり・・と枚挙に暇がない状態だ。いずれも大事故には結びつかなかったが「大事故の陰に29の小事故があり、その下に300のミス(ハット・ヒヤリ)がある」という法則もある。いつ墜落など目を覆う惨事に繋がるとも限らない。ここでも頭を下げるテレビ画面が溢れた。“またか、今度はどこの会社だ"とうんざり。そして「これはいけないなア」と感じさせられてきたのだ。こんなお詫びをさせているうちに「“1回こっきりの恥だと我慢して頭を下げれば、それで済む。ミソギが終わったらこっちのもんだ"という風潮に結びついたら困るゾ」という思いだ。

 そして、もう一つ。今度は詫びさせるマスコミ側の問題だ。JR西日本取材中の新聞記者の傍若無人ぶりが問題となった。「メディアスクラム」つまり集団的過熱取材である。JR幹部の記者会見で読売新聞記者が「あんたら、もうええワ、社長を呼んでこい」と吊るし上げた。これがインターネットに記者が実名で掲載された。マスコミに不満のある人間はごまんといる。ネット上を駆けめぐって読売に抗議が殺到、遂に大阪社会部長名で紙面でお詫びした。この集団的過熱取材も事の本質を見失わせかねないのだ。しかもマスコミは熱しやすく冷めやすい。折しも個人情報保護法の発効直後だ。マスコミ側にも反省が必要だろう。(2005・6・10)


Copyright (C) Medianetplan Co.,Ltd. All Rights Reserved.
このサイトに記載された記事及び画像の無断転載を禁じます。