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主幹 富田正廣

“あみだくじ”で、経営は成り立たない!

 10月2日付メディアフォーラム「さまざまな思い、さまざまな疑問」の中で「あみだクジ入札」のふしぎ大発見!と題して一筆書いたが、ある業界通の方から「そんなモノではない」という新たな情報を戴いた。
 それは県の浄化センター工事で10社が参加した機械設備の入札でのことだ。当日までに6社が辞退(もちろん入札会場は姿を見せない)、残る4社が同額となった。その4社のうち機械メーカーは1社、あと3社は組み立てなどを主力とするいわゆる“鉄工所のような会社”である。4社とも有資格制度の基では十分入札に参加する権利はある。だが、運悪く“あみだくじ」で当たったのはある鉄工所らしき会社だった。この鉄工所のような会社がこの工事を取る予定だったかは分からない。自動車を「例」に取り、分かりやすく話しをすると、車の心臓部分を造る会社と骨組みを組み立てる会社でも、一般にはどちらも自動車会社として登録しているし、世間でも同じく自動車会社と見ているだろう。だが、根本的にはまったく違う会社である。

 だが、県の入札制度ではどちらも問題はない。このことは技術系の職員なら、「あの工事はA社が最初から手掛けているし、あの会社でないと良いモノはできない」と、技術的に見ても他社では無理と分かっているはずだ。だが、そんなアドバイスを入札担当者に口添えしたり、「本当はあなたの所でやっていただきたい」などと、業者に伝えたりしたらとんでもないことになる。その鉄工所のような会社が、仕事を機械メーカーに下請けに出しても、納期まで間に合わせてくれるかは問題だ。「発注者側は、パンを作るのにパン屋に頼んだのではなく、餅屋にパンを作れと頼んだようなものだよ」と業界通は笑う。

 こんな入札方式?である“あみだくじ”が多くなってから、企業側は毎年の全体受注計画が立てられないと嘆いている。もちろん、会社経営が成り立たないのが現実である。ある機械メーカーの社長は、「これからは交通費や日当を考えて、役所をウロチョロするな!」と社員に営業活動の自粛を通達した。「これからは、役所相手の営業マンはいらない。パソコンできる事務員と所長だけで積算すれば足りることだ」と業界通。
 本気で技術開発進める企業も、組み立てを本業とする企業も同じランクとして扱われる“仁義なき戦い”である。すでに、やくざの世界よりひどい社会のシステムが構築されつつあるというべきだ。こんなシステムが続いたら横文字や何をやっている会社なのか推測できない会社が増えて、悪いことをやる“機械メーカーらしき者”が増えてくるはずだ。

 建設業界も機械メーカー業界も、それでもなお仕事を取りたいのなら、業界全体で記録に残さない「暗黙の了解」で、談合ができる方式を考えるほかない。それがダメなら理論に基づいた方式をあみだすしかないのだ。「この仕事はこの会社にやってもらうことが最もベターです」と発注側にはっきりとモノが言える技術系の職員がいないと、公共工事はドンドン粗悪なものしかできないことになっていく。工事を発注する者とその工事をおこなう者の間に「良いモノを共に造る」という信頼関係が失われた現在、何を基に新たな入札改革が生まれるのか、それは大きな疑問でもあり課題である。(06.10.11)



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