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主幹 富田正廣

大型の公共施設利用が恐ろしい!

 まったく不思議でならない。これだけ毎年のように全国で「地震だ!地震だ!」と騒いでいるというのに、“不特定多数の人が利用する施設”でさえ、安全管理面が徹底されていない現状に、「一体、この国は政策、行政はどうなっているのか」と憤りを感じる。今月16日に宮城県沖地震が起きたが、2年前にも起きた宮城県北部地震の教訓は生かされていない。仙台市泉区の屋内プールのつり下げ型天井の崩落事故も結局は建設業者の手抜きと設計業者の不作為によるものである。もっと罪が重いのは発注者で、「工事中から完成までどんな検査をしたのか」ということだ。役所の職員は設計業者任せ、設計業者は建築業者任せ、建築業者は下請業者任せ、資財納入業者任せで、誰も責任ある施工管理をしていないからこうした事故が後を絶たないのである。
 この事故をきっかけに福島県内でも、思い立ったように大型施設で安全点検が始まった。すでに郡山市にあるビックバレットふくしまでは、断熱材の落下、コラッセふくしまでは、天井パネルがはがれて落下する事故が起きている。幸いにも事故発生には至らなかったが、地震を予知して施設管理する立場にある人間は一体どこの誰だったのか、責任の追及があっても良いはずだ。ビックバレットふくしまでは、すでに数年前から大雨が降ると雨漏りがしていた。警備員が何カ所にもバケツを置いて歩く姿を実際に目撃したことがある。その時点で地震が来れば、何かが起きることは予測できたはずである。 民間の“不特定多数の人が利用する施設”であるヨークベニマルは数年前から吊り天井に「揺れ止め」を施して耐震補強をしたというのに、指導・監督すべき立場の県・自治体が“人任せ”では、公共施設の利用も恐ろしくてならない。

 県内の大型公共施設のほとんどは、福島県の権威ある建築賞に輝き、審査委員長や審査委員は、その素晴らしさを賞賛する。だが、こうなってみると一体何を基準に「賞」を決定したのか、その基準すら疑わしくなる。これまでのデザインや見てくれ重視ではなく、耐震性や安全性、さらには危機に直面した場合の避難誘導性など、安心と安全を第一に選んで欲しい。県内でも仙台市の今回のような事故が発生した場合、設計者も施工者も永久に公共事業の参加を停止すべきだ。これだけ地震に対する恐怖が高まって最中に、危機管理のない人間達に公共の施設の仕事などさせる必要はない。今、日本で最も必要なのは、危機管理に対する「当事者」の意識である。(05.8.22)


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