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■実務者の立証と行使は容易でない
損害賠償
談合対策としての損害賠償及び予約ということが、最近注目を集めているが、若干私の意見も交えて話しますが、損害賠償について発注者としてどう考えるかですが、談合という不法行為によって、自治体が被った損害を補填、求めていくことは当然で、談合に対する抑止力とその予防的効果が非常に大きい。ただ、実務者として実際の行使には容易ではない問題もある。まず公取委等によって談合事実の確定がない場合、発注者が自ら民法790条文によって不法行為責任を追及することは、談合事実の証明と損害額などの要件すべてを発注者が立証することは、捜査権がないので事実上難しい。
問題になるのは公取委の方で確定審決なるものが、独禁法25条に基づき損害賠償がでた場合、談合そのものの証明はクリアできると考えるが、その後の損害額の確定については、依然困難があるのではないか。民事訴訟法の改正で、民訴248条により損害額確定については、裁判所の判断に委ねられ原告側の負担が非常に軽減されたという発注者側には、有り難い法改正があった。談合に対する損害賠償は決して否定しないし積極的にやりたいと思うが原告がそこまで追っていくのは簡単ではない問題がある。
■損害額も公取委で一律に認定を
私的
ここからは私の実に素人の無謀な考えとしてお聞き願いたい。談合による損害賠償について警察側に個別に摘発される場合は別として、公取委が絡んで大規模な摘発の場合には、より簡易で迅速な方法が必要ではないか。それは現在、課徴金という発想があり、それを損害額まで及ぼせないか、損害額もできれば同時に一律的に公取委で認定できるような立法的な解決が考えられないだろうか。もちろん課徴金と損害賠償は性格とか目的は異にしていることは重々承知の上だが、その理由には何点かある。
1つに商法に基づいて実質的な談合審査は公取委で行われること。2つ、談合事件は同じ業者、企業を相手に全国に多発的に起こる場合が多いが、それを個々にそれぞれの発注者が訴訟を提起ことについては、国民、経済的に見ても無駄なことが多いのではないか。3つには民訴248条適用においても、損害額の認定は裁判所だか、裁判所も248条の判断にも困難があるのではないか。実際これを適用した奈良地裁の判決でも、やはり公取委の資料とか、6%という課徴金の率を拠り所に、損害額を判断している実態がある。敢えて同じくするケースで、裁判所ごとで異なる判決が出るのはあまり好ましくはない。もちろん損害賠償は個々によって皆違うというのは当たり前。課徴金については実際的な審査、審理はやっているはずで、一律に損害はこのくらい、また法的に何%と決めるのも一つの解決法かと考える。
また自治体の体制の問題として、独禁法を専門とする弁護士さんが全国的にいないことも体制が不十分ではないか。大事なことは迅速な損害の回復の必要性と談合に対する抑止力の実効性を高めること。
■損害率、率の決定、効力に問題
予約
発注者が自ら損害を解決していく手段として注目を集め心理的な抑止力効果を挙げている。これにも私自身何点かの疑問がある。1つは損害の率をどうするか、妥当な率は何か、同じようなケースで自治体ごとに率が違うことについていろんな評価はあるはず。2つ目は不確定な率の定め方、例えば最低6%以上という定め方ができるのかということ。そもそも損害賠償の予約というものは、事後の争いを避けて、できるだけ迅速な救済を図るという本質があり、不確定な状態で予約を結ぶことはメリットを損なうもの。3つ目は効力の問題で、公序良俗に反するような内容、率は無効だが、どのくらいが反するものなのか、また業者側が強制的な請負契約を結ばされたと無効の主張をされる恐れはないか、いつの時点で予約を結べばいいのかといった疑問がある。落札業者のみに事後に特約を結ぶことは債務不履行とならないかなど迷うことがある。
■限界、捜査権、監視、モラル
課題
最後に談合対策に対する課題ですが、1つは発注者に対する風当たりが非常に強いが、それには限界があるからだ。慣性談合は論外だが、発注者に対する過大な期待があるのではないか。これを許すものではないが、発注者も被害者でもある。実質的な捜査権を持ってないだけに限度がある。だが毅然とした態度と適正に執行されているかをチェックする第三者機関が必要だ。すでに神戸市は入札を監視する委員会でおこなっている。2つ目は競争入札の限界、入札は毎年同じ業界を相手に繰り返し行われ、内在的に談合を誘発する危険性を有するシステムではないか。電子入札になっても基本的には変わりないし、競争入札に変わるものはない。3つ目は企業のモラルであり「談合は犯罪だ」という意識が希薄であることが最大の問題だ。「共存共栄」「和を持って尊しと為す」など争い、競争を好まない日本人の気質があるが、犯罪は犯罪として法を守る気持ちがあるかどうかだ。4つ目は談合に対する取り締りの強化が必要。5つ目は市民による監視を十分に機能するためには行政側の情報の開示はきちんと努めることは大切だ。談合なくすには発注者、企業、取締機関、市民のそれぞれの責任と役割を果たし協力と連携が大事であると結んで終わります。
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