桜咲くか?「さくら野跡地」陳情書
タイムリミット近づく福島商工会議所


 福島商工会議所(佐藤勝三会長)は2月23日に開いた「さくら野百貨店跡地利用活用に関するシンポジウム」の会場で、4日に福島市に陳情した同会議所・福島経済同友会・福島経営者協会の三団体による「さくら野百貨店跡地に福島市役所本庁舎入居のお願いについて」の陳情書を配布し理解を求めた。その全文を掲載する。

■さくら野百貨店跡地に福島市役所本庁舎入居のお願いについて
 日頃より福島市ご当局におかれましては、福島地区内の商工業振興のため、ご理解とご支援を賜り厚く御礼申し上げます。
 さて、ご承知のように、さくら野百貨店が本年3月末をもって閉店いたしますが、その後の入居者については積水ハウスからは、現在の段階では全く見通しが立っていない状況だとお聞きしております。我々としては、積水ハウスには引き続き新たな商業施設となるテナントを探していただくよう強く要望して参ると共に、我々としても商業施設のテナント入居実現のために最大の努力をいたして参る所存であります。
 しかしながら、どうしても入居者が見つからない場合、あれだけの建物を空屋にしておくことは、まちづくりの観点や安全面、更には街の景観等からも決して許されるものではありません。
 つきましては、その場合にはぜひとも現在建設計画にある福島市役所本庁舎に入居をいただきいと存じますので、何卒よろしくお願い致します。
 実現されれば、福島駅前という立地条件や駐車台数の豊富さなどにより市民の利便性も向上すると共に、中心市街地の活性化にもつながり、併せて総額で200億円以上と言われている建設費が大幅に少なくなり地方財政の健全化にも大きく寄与するなどのメリットも数多く考えられます。
 現在計画されている市役所本庁舎は、永い年月をかけて綿密な計画のもと、多くの方の大変なご努力によりここまで進んできたことや、更には用地買収等も相当進んでいることも充分承知いたしておるところでございますが、この問題は21世紀における福島市の在り方を考えた場合、ぜひとも実現いただきたい極めて重大な案件だと存じております。
現在の建設計画を白紙に戻し、市本庁舎のさくら野百貨店跡地への移転をあらためてご検討下さいますよう何卒よろしくお願い申し上げます。

経済3団体による陳情書提出の経緯説明
今回、陳情に至ったことの発端は、昨年10月29日にマスコミで発表された「さくら野百貨店福島店、来年3月で閉店」というニュースでありまして、この福島中心部に残された数少ない大型小売店閉鎖の報せは、各方面に大きな衝撃を与えました。閉店の理由としては、直接的には家賃交渉によるものとされていますが、その大きな背景には、他都市との競合により福島市の消費購買力が回復しておらず、家賃負担のできる売上げを達成する見通しが立たなかったことがあります。
 福島市中心部では、90年代以降、大型商業施設に限っても平成3年にエンドーチェーン、平成11年に長崎屋、平成14年にはコルニエツタヤが駅前の目抜き通りから相次いで姿を消しています。そして、その分の消費は他店に向わずに市郊外や仙台、郡山などの他の都市に流れています。仙台へは高速バスを使って一日1,400人が出掛けています。これにマイカー、又新幹線利用者を勘案すれば、一日5,000人程度が仙台に出掛けていると推定されます。この結果、福島市で調べた数字を若干申し上げますが、駅前の歩行者一日当たりの人数は激減しています。

平成6年7月と平成15年7月との比較ですが、
「駅前通り」では
平日が25,531人から14,815人へ、10,716人の減、
休日が26,990人から10,120人へ、16,870人の減、
「パセオ通り」では
平日が7,346人から4,969人へ、2,377人の減、
休日が9,773人から3,022人へ、6,751人の減、

でありまして、休日の減少が非常に激しく、これが実態です。

 そこで福島商工会議所としても「仙台からの誘客」を取り組むべき第1の課題にかかげることにしたものです。こうした矢先での「さくら野百貨店の閉店」は、影響甚大であります。積水ハウスには、これ迄再三にわたり、引き続き新たな商業施設となるテナントを探していただくよう要請してきております。
 又、直接イオン、ハニーズ、さくら野百貨店等の物販店に接触し、最大限の努力をしてきているところです。商業施設のテナント入居が最も望ましい姿でありますので、今後ともこの実現に努めて参ります。
 なお、積水ハウス、ハニーズ、イオン、さくら野百貨店との話し合いについては、その要点だけ簡単に申し上げますと、
「積水ハウス」
 さくら野百貨店の跡地利用については、現在は未だ白紙の状態である。1階部分の利用を検討したいという話は複数あるが、全体を一括で利用したいという話はなく、楽観していない。土地建物の一括売却は、ご相談があれば応じましょう
「ハニーズ」
 地方都市の生活者は完全に車社会人であり、車で行きにくい場所での商業は成り立たず、かつ無料駐車が不可欠であり、中心市街地への出店は全く考えていない。
「イオン」
福島市の商圏にパワーがなく、出店する環境としては難しいさくら野の建物に関しては、第1に家賃が高すぎること、第2は駐車場に問題があること、の2要因で出店は難しい。第1の家賃は売上の5%を超す家賃ではコストがかかりすぎる。第2の駐車場は、約900台の駐車場に出入口が1つでは、混雑を回避できない。この2点が問題のため、さくら野跡地への出店は他の物販店も相当難しいのではないか。
「さくら野」
現状の家賃では、売上の10%を超えるため、採算がとれず株主と協議して閉店を決めた。営業を継続するためには家賃が売上の4%以下でないと難しい。売上を現在の55億円とすれば2億2千万円が限度となる。
第三者が積水ハウスから土地建物を取得し、家賃条件が合うことになれば営業を継続できる可能性はある。現時点では、3月21日には閉店し、翌日からは原状回復工事に取り掛かる予定となっている。工事が始まってしまえば、その後に営業を継続することは困難であり、そのためには今月中(2月中)に方向性の結論が出ないと間に合わない。
 という状況で、狭い道とはいえ、わずかにさくら野の営業継続の可能性が残されてはおりますが、土地建物を取得する第三者が現れない場合、又どうしても商業施設の入居者が見つからない場合、あれだけの建物を空屋にしておくことは、まちづくりの観点や安全面、更には街の景観等からも決して看過できるものではないと思います。つきましては、どうしても入居者が見つからない場合、現在建設計画がある福島市役所本庁舎に入居していただきたい、ということで、陳情申しあげた次第です。

平成10月11月に当時の市長さんが、市議会全員協議会において、五老内の「周辺部を含む現在地が最適である」と表明されましたが、その第1の理由が「市で所有している面積が多く財政負担が少ない。」ということにあって訳で、この点について、今回、改めてよく考えてみなければならないと思います。第2、第3の理由は、長く市民が慣れ親しんだ場所である、防災上の拠点となりうる等々であります。当時の市長さんが表明した平成10年11月から6年以上経過した時点で福島市の状況をみますと、この6年の間に想像を絶する大きな変化が生じました。
 一つは、冒頭申し上げましたような大型商業施設が相次いで姿を消し、中心市街地の空洞化が急速に進んでいることであります。このまま手をこまねいていれば、中心市街地は商店街が消滅し、一面飲み屋街となるおそれがあり、無策にすぎれば回復不可能な状態に陥る危険があります。
 変化の二つめは、景気の長期低迷による財政への影響であります。
 現在の計画が、総額で200億円以上といわれている費用が、大幅に軽減されます。そうすれば、ほんの一例を申しあげれば、全国平均比見劣りしている下水道普及率も大幅に上昇させることが可能であります。

現在の計画のプロポーザル案は、概算工事金を「地下1階地上8階で150億円」ということで設計事務所が選定されているようですが、この150億円には、用地取得費は入っておりません。現庁舎の敷地約1万平方メートルを東の四号国道まで、ほぼ2倍に拡張する計画です。更に現庁舎の解体工事費、仮庁舎の建設費等も含まれておらず、これらを含めれば総費用は200億円を超えてしまうと思われますが、市道の廃止の問題を含め、いまだ建替の全体像がはっきり見えない状況にあります。
 私どもの陳情内容が実現されれば、福島駅前という立地条件や駐車台数約900台という豊富さなどによりまして、市民の利便性は格段に向上すると共に、空洞化が心配される中心市街地の活性化にもつながり、併せて建設費の大幅減により、地方財政の健全化に大きく寄与するものでありまして、この陳情はこの6年の間の大きな変化に対処するための市民の知恵であると思います。
 新聞報道からの引用で申し訳ありませんが、議長さんからは、「話が突然すぎる。」とのコメントがあったようですが、さくら野百貨店の閉店は、まさに突然の出来事でありまして、この突然のことに懸命に対処しようとしている訳であります。又、市長さんからは「市庁舎は土日が暗くなるので中心市街地の活性化にはならない。」というコメントでしたが、5階の映画館や各階数教室等のテナントは残し、1階をショッピングセンターにするなど、対応策は十分に考えられるところであります。

ここで若干、さくら野改修計画について述べてみたいと思います。
お配りしてある資料は、さくら野改修案とプロポーザル提出案の各種比較が、大変冷静に行われております。それから、平面図、立面図と改修工事の費用概算書がついておりますので、ご覧いただきたいと思います。
 平面図は枚数が多くなりますので、代表的な2階部分のみ1枚にしてあります。悪しからずご了承ください。先ず、地震に対する備えですが、さくら野の建物は、市の保健福祉センターと同様に、阪神淡路大震災後に制定された新耐震設計基準のもとで、チェックされた建物であります。国の施設等のために定めた「官庁施設の総合耐震計画基準」による耐震安全性分類・類、・類、・類の・類に該当します。・類・・類は、国の需要施設などに指定するもので、さくら野の建物は現状でも十分な耐震性を持っています。又、1階は天井まで5.5m、2階以上は4.5mと市庁舎としての高さに不足はありません。あとは詳細にわたりますので省略しますが、平面図、立面図を後ほどじっくりご覧いただければ市庁舎としてふさわしい改築ができることをご理解頂けるものと確信致しております。
 現在計画中の市役所建替は永い年月をかけて綿密な計画のもと、多くの方々の大変なご努力により、ここまで進んできたことや、更には用地買収等若干進んでいることも承知しておりますが、この問題は21世紀の福島市のあり方を考えた場合、ぜひとも実現していただきたい、極めて重大な案件であると考えます。
 翻って、当然現在の市役所跡地はどうするのか、ということになる訳ですが、今回の件で100億円を超える余裕の資金が市の金庫に残ることになりますので、これこそ正に時間をかけて民意による施設活用法を練りあげていくことができると思います。
 すぐに思い浮かぶのは、
・ 市民活動広場又憩いのスペースを兼ねた災害時の避難場所が必要です。
・ 福島中心部には大型観光バスが駐車できる駐車場は全くなく、観光客を市内に誘導するのに支障が出ており、大型駐車場が必要です。
・ 区画整理事業に伴う公共事業代替地としての有効ストックも必要です。
その他、老朽化の進んでいる公会堂、図書室、小ホール等々もあるかと思いますが、これらについてはやはりできるだけ人の集まり易い駅周辺が望ましいと考えます。
 高齢化社会と市町村合併の時代という社会的変化の中で、「庁舎のあるべき姿」と、その場所は、まちづくりの重要な要素になっています。


 特にバブル期以降の中心市街地の姿は、全国いたるところで衰退を見せており、街に人を呼ぶ装置が必要になっています。それには、固定的に人を確保できる「学校、官庁施設等」が最たるものです。
 「さくら野」は福島駅および曽根田駅に近く、駐車場も豊富です。駅を中心に南に「NHK、こむこむ」の施設、北に「さくら野跡の市本庁舎」東に、パセオ通り南の「福島学院大学」となれば、人の回遊性が生じます。 市庁舎頼みといわれるかもしれませんが、現在地での建替検討資料の中には、市職員を1300人、そして1日平均来庁者は1400人から1500人が想定されています。合計1日平均で2700人から2800人が福島駅、曽根田駅近辺で動くことになる訳で元気の出る想定です。
 最後になりましたが、以上述べてきたことを背景にして、「現在の建設計画を白紙に戻し、市本庁舎のさくら野百貨店跡地への移転を議会においてご検討、ご審議くださいますように要望いたしますので、よろしくお願いします。」というのが、今回の要望書の内容であります。 以上(05.2.25)


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