すでに用地買収に応じた地権者の権利は?
揺れるさくら野百貨店問題でシンポジウム

 3月に閉店するさくら野百貨店の跡地利用をめぐって、市民を二分する形となった市庁舎建設問題。その発端となった福島商工会議所案の市庁舎移転計画を含めた「さくら野百貨店跡地利用活用に関するシンポジウム」が同会議所の主催で23日、福島市のエルティで開かれた。
 会場いっぱいとなった市民約500人の関心は、“さくら野百貨店跡に市庁舎の改修計画が実現するのか”ということだ。さくら野百貨店が撤退した後は、中心市街地の空洞化が一段と進み日本一活力のない県都化すことも懸念材料として挙げられた。佐藤勝三会長は、この問題に触れ、「さくら野に引き続き止まって貰うことを最優先に考えている。最悪の場合は4社で20億円前後をメドに買収できないかを模索中」であることを明らかにした。
 また、市が進める新庁舎建設に触れた問題では、「市庁舎が現在の場所に建設を決めたことで買収にも応じた。佐藤会長が『用地買収は進めるべき。いろいろな形ができるはず』との発言は疑問だ。何になるか分からないのに用地買収に応じるのか。我々は市の計画に納得して移転を決意した」と市内五老内に住む地権者からの発言には注目が集まった。
 また行政マンとして副知事を経験した友田昇経済同友会代表幹事は「行政は一度決めたことに対して方向転換することは大変難しいことだが、時代の変化に応じた見直しも必要だ。決めた時と現在の経済状況を考えるべきである」との発言にも「わずか4〜5年前の議会決議がもう見直しされるのか」という厳しい発言もあった。
 また、さくら野跡地の利用としては、「福島医大の一部利用や市立病院、また、公会堂や市立図書館としての利用なども検討すべきだ」とする意見や、「市役所は防災の拠点として位置付けられることからも災害対策の観点で考える必要がある」との意見も出た。こうした会場からの相次ぐ厳しい発言に意見を求められたバネリストからは「個人的な意見は差し控えたい。多くの市民の意見を聴きながら解決策を模索すべきだと思う」と言葉を選んで話す姿勢は、その選択の難しさを表していた。
 商工会議所の“市庁舎誘致ありき”の問題を切り離しても、福島市の中心市街地の中心地の空洞化がこれ以上に進むことに歯止めをかけることには、参加者も主催者側も一致した考えだ。市庁舎建設問題は、「市が進める現在地が最適」とする案と「さくら野跡地にすべき」という二つの意見は今後も巷でも続きそうだ。《詳細は追って掲載予定》(05.2.23)

勝手な“撤退企業”には制裁を

【取材を終えて】
 さくら野百貨店閉店の問題は、市庁舎建設の問題に発展した。これまで昼行灯で過ごしてきた福島市民に「喝!」を入れた佐藤新会長に会場から「大いに感謝している」というエールを贈る参加者もあった。こうした“わがマチをどうする?”という市民レベルの会合がなかったことも摩訶不思議である。さくら野百貨店の問題を市民の問題として捉えることは大切だが、もっと大切なのは、マチをゴチャゴチャにしてしまったこうした百貨店や大手量販店などの責任を追及しないことだ。勝手に進出して、勝手に撤退するこうした企業に対し何の制裁も加えられないのが問題である。行政も無法地帯のように放っておいた責任は重い。駅前商店街がこうした企業に対し損害賠償を請求できる権利があってもいい。市民はもっとこうした企業に怒りを露わにすべきである。(富田)