活断層と飯坂温泉
―福島西縁断層帯を考える(2)―
(株)大和地質研究所代表取締役 大村 一夫


2−3)都市防災における直下型地震の評価

 耐震設計の歴史をみると、まず設計用に一律な震度を決めることから始まり、それに地域・地盤・構造性などの影響を加味する時代を経て、現在、高層建築に対する耐震設計は、設計用の地震動を選ぶことから始まるようになった。
 マグニチュードと震央距離は同じでも、実際に観測された地震動の最大速度と周期特性にはかなりのばらつきがある。ばらつきが生じる原因の大半は、観測地点の地盤の差による。露出した基盤(土砂がかぶさっていない地盤)上ではばらつきは小さい。
都市防災(直下型地震による)対策の要点
a. 近未来(数10年以内)に大地震が発生しうる活断層の選定。
b. 日本全体で長さ20km以上で活動度A、Bの活断層、104本が現在の調査対象。
c. 日本では、都市防災のための「活断層規制法」あるいは類似の法律はない。
d. 日本の大都市のほとんどは沖積面上に位置するため、大都市では岩盤上に直接設置される建造物は極めて少ない。
e. 表層地質の違い、基盤表面の形状によって地震波が増幅されることがある。



2−4)地震防災対策の他に考える事はないか

 大規模な直下型地震はほぼ1,000年に1度、突然前ぶれなしにやってきて、都市機能の全てを一瞬の内に破壊しつくし、多数の人命を奪い去る。
しかも、現在の科学技術では、各活断層について、直下型地震の発生の可能性と規模の予測をすることは可能であっても、発生時期を予測することは不可能と言って良い。
 直下型地震に対する防災対策は、問題となる活断層がほぼ1,000年に1回しか活動しないのだから、上からの指示を待つという受身の状態では急場の役には立ちそうもない。
 地震防災対策は、各企業・各個人が自己の財産と生命は自分達で守ろうと決心することから始まるのではないだろうか。そして、行政との共同作業が開始されると考えたい。

 「福島西縁断層帯」はこれまで「危険が差し迫っている状況ではない」と考えられてきたが、近々に調査がなされそうで、状況が明らかになるのも間近である。断層帯直上に位置する飯坂温泉としては、その結果を踏まえて、活断層の直上に位置する事を逆手にとって新たな「街起こし」を考えることが必要ではないだろうか。前のページ《平成8年4月25日執筆》(05.2.17)



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都市直下型地震との共生を考えよう
―兵庫県南部地震が示唆するもの―
 講師/理学博士・技術士 大村一夫氏(大和地質研究所)

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