「新しい観光資源を再発見せよ!」
JR東海相談役・須田寛氏が講演会


福島商工会議所は15日、東海旅客鉄道相談役の須田寛氏を講師に迎え「地域におけるニュー・ツーリズム」と題する講演会を開催した。昨年の日本人の海外旅行者は延べ1600万人だったのに対し、海外から日本への旅行者は550万人と日本の観光に関する国際競争力の低下が指摘されている。こうした現状を受けて、日本商工会議所が昨年3月に観光振興を街づくり運動として進めることを提言し、また、同じく昨年5月に国が「観光立国推進戦略会議」を立ち上げ、国として初めて観光に焦点を当てた施策を始めるなど官民を挙げての取り組みが本格化している。いずれの動きにも委員として大きく関わった須田氏は現在の国内観光産業の問題点や取り組むべき課題などについて講演した。
 同氏は国内観光の問題点として、観光客に来て見てもらうだけの旧態依然としたマンネリ化や海外旅行とほとんど変わらないという国内旅行のコスト高などを挙げた。そのうえで、見てもらうだけの観光から、観光客が農作業や工芸などを体験できる「体験観光」や「学習観光」のニーズが高まっていることを紹介し、コスト高については、宿泊施設や輸送機関の経営の合理化を一層進め、コスト削減を図る必要性を論じた。
 一方で須田氏は持論の「産業観光」という考え方の重要性を強調した。同氏によると、伝統ある寺社仏閣や風光明媚な自然などは必ずしもどこにでもあるというわけではないが、人々の生活の根幹である農業、漁業、商業、工業といった産業なら人の住む所なら必ず存在する。この産業を新たな観光資源として見直そうというものである。成功のカギは「あんなものが観光資源になるのか」といったものをどうアレンジし、見せ方などを工夫するかにあるという。老朽化し取り壊し直前だった倉庫や煙突など地元では変哲もないものが思わぬ観光スポットになったり、地元産品である瓦を街中でアピールするような愛知県内の街づくりなどの事例を紹介した(05.2.16)。



【取材メモ】
国内観光の危機というのは、観光産業に直接携わる者でもなければ気にする人は意外と少ない。一般の人々は国内であれ海外であれより安くより快適な旅行が満喫できることのほうが重要だからだ。しかし、講演で須田氏が強調していた「産業観光」という考え方は、建設業を含む地元産業界にとっても、新たな発想の出発点となるのではないだろうか。これまでも富山県の黒部ダムや本州と四国を結ぶ瀬戸大橋など大規模構造物が観光名所となっている例は多い。そこまで大規模でなくともそれぞれの地域特性が反映されていたり、形状が変わっていたりすれば人は注目するものだ。地元にとっては当り前のものが地域外の人々にとっては興味の対象となることは結構多い。要は規模の大きさなどではなく見せ方なのだ。建設という産業が観光の中心に据えられ、街づくりが進み、県内外から大いに人々が訪れ、街が活気付く・・・。そんなことを夢想しながら須田氏の講演を聞いた(T.S)。

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