佐藤会長=新市庁舎建設に市議会も議論を!
瀬戸市長=合併は市民がより良い選択を

  福島市周辺に住む昭和22、23年生まれのいわゆる団塊の世代からなる親睦団体「100人会」が22日に開いた新年会に、特別ゲストとして、瀬戸孝則市長と佐藤勝三商工会議所会頭が招かれた。新年会では「これからの福島市のあるべき姿」と題した新春放談が行われ、二氏の地域振興に対する考え方が披露された。現在、地元経済界や行政、市民の注目を集めているさくら野百貨店の閉店後の跡地に福島市庁舎の移転させる案について、私案から21日に会議所案として承認を得た佐藤会頭は、この日が初めて瀬戸市長との顔合わせとなった。先に提案に至った経緯などを紹介した佐藤会長に対し、瀬戸市長は、一貫して、「従来通り新庁舎建設計画を進める」という考えをあらためて強調し、さくら野百貨店跡に対する新市庁舎建設に対するコメントを避けた。以下、両氏の発言趣旨をまとめた。

福島などで「南東北」の首都を目指すべきだ

●福島市の現在と今後
【瀬戸市長】
 福島市としても、これまで借上市営住宅の整備やコラッセ福島内への市立図書館の設置など振興策を提供しているが、いまひとつ民間で商売をしている人々の自発的な熱意が感じられない。今後2〜3年で団塊の世代の定年や三位一体の改革などで、役人の数が大幅に減っていくことが考えられる。福島市を盛り上げていくためには、行政だけでなく、民間がより積極的なイニシアティブを発揮することが重要だ。
【佐藤会頭】
 福島市には豊かな自然や温泉が多数あり、花見山公園や福島競馬場など県外からも人を呼び込む観光資源が存在する。将来的にさらに発展が見込めるポテンシャルは十分にあるが、市内の買物客が仙台市や郡山市に流出している実態の裏には、これまで「県都」としての意識を持った街づくりを怠ってきたせいでもある。これからは、「県都」としての意識はもちろん、福島、宮城、山形の3県を結んだ「南東北」の首都を目指すべきだ。

●地域振興の具体策について
【瀬戸市長】
 例えば「福島30景」を学び、市外からの観光客に案内ができるような市民観光案内人を市民の生涯学習と観光を結びつけるような施策を考えている。また、古関裕而記念館やふれあい歴史館といった観光施設の会員券を市内の店舗などに配り、観光客に積極的に売り込みたい。さらに、かつて農業後継者を市として支援したように、今後は商売人の後継者や中心市街地あるいは温泉地の不動産相続人への支援を強化することで、地元に根付いて福島の将来を真剣に考えてくれる人材づくりに努める。
【佐藤会頭】
 定住人口の6倍の消費を行うとされる交流人口を積極的に中心市街地に呼び込みたい。このため、市民参加型の「福島交流人口研究実施大学」を4月開校を目指して準備を進めている。また、花見山公園や福島競馬場に訪れる人々を例えば磐梯吾妻スカイラインの観光と結びつけて、中心市街地を真中に福島市の東部と西部で観光客が対流するような仕組みを考えていく。さらに、周辺地域との交流を促進するため、東北中央自動車道福島〜米沢間の整備が新直轄方式で進められているが、新直轄で整備すれば将来道路料金は無料になる。福島〜相馬間の整備についても新直轄による早期整備の実現を国などに訴えていく。

市庁舎建設は中心市街地の空洞化対策

●市庁舎移転問題について
【瀬戸市長】
 さくら野百貨店の閉店後、テナントが決まらず駅周辺の中心市街地に大きな空洞ができることには危機感を持っている。しかし、新庁舎建設計画は長期にわたって計画を進めてきた経緯もあり、現在のところ、従来の計画通り進めていきたいと考えている。駅周辺の街づくりについては、民間活力を中心において考えていきたいが、まずは3月の定例議会で議論を進めていく。
【佐藤会頭】
 さくら野が3月で閉店することが明らかになってから、商工会議所としても4月以降空家になるのを避けるため、新たなテナント先を見つけるよう建物所有者に要望してきたが、現在まで有力なテナント先が見つかっていないのが現状。商工会議所で建物を買い取る場合を建物所有者と相談したところ、商業施設として使用する場合30億円程度という話だったが、市庁舎として活用する場合はどうかを尋ねたところ20億円程度でも良いとの解答だった。市庁舎としての改修費用を独自に見積もると40億円程度で済むことが分かり、市庁舎建設におけるコスト縮減と中心市街地の空洞化対策との観点からこうした提案を行うこととなった。自身としては、商業施設としての活用がベストと考えているが、現在のところ早期のテナント決定は難しい状況であり、商業施設と市庁舎の2本立てで考えていく。
 今回の提案はあくまで瀬戸市長に対してのものではなく、福島市議会で議論を進めてもらいたい。3月定例議会で議論を進め、5月ごろまでには結論をだしてもらいたいと考えている。(05.1.28)

●市町村合併について
【瀬戸市長】
 現在、川俣町との合併協議が進められているが、まずは合併ありきではない。川俣町との合併が実現すれば人口は30万人を超え、中核市として認められることになり、市の自治権は拡大することはメリットとして評価する。しかし、中核市になれば、税金などの市民負担が大きくなるといったデメリットもある。市民にとってより良い選択を行うため、まずは結論を急がないことが大事だ。
【佐藤会頭】
 周辺町村から是非福島市と合併したいと言われるような福島市の街づくりを産業界と行政が一体となって進めたい。

【取材を終えて】
会長=次期市長選では無投票当選が望ましい!
 すでに用地買収が進み、基本設計段階に入っている福島市の新庁舎。そこに突然降って湧いたように提案された佐藤会頭によるさくら野百貨店跡地への市庁舎移転案に困惑を隠せない瀬戸市長。今回の2人のやり取りにも、それぞれの立場が反映されていた。庁舎移転案提出の経緯から予算見積り、今後のスケジュールまで滔々とまくし立てた佐藤会頭に対して、取材に訪れていた新聞社などの目を気にして、あくまで従来通り計画を進めることを控えめに語った瀬戸市長。突然投げ込まれたボールの扱いをどうしたら良いか思案に暮れている市長の心理状態が見て取れた。
 福島市では今年11月に任期満了に伴う市長選挙を控えている。新庁舎問題がこじれ、長期化すればその選挙戦への影響も考えられる。それを考慮してか、佐藤会頭は、5月までには市議会で結論を出してもらいたいとその場にいた複数の市会議員に対して早期に結論を出すことを要望した。さらに、商工会議所としては次期市長選では瀬戸市長を強力にバックアップし、できれば対立候補のいない無投票当選が望ましいことを明言するなど、今回の市庁舎問題が混乱に発展するのを避けたい佐藤会頭なりの配慮が見えた。
 買物客が仙台市や郡山市に流出し、中心市街地の空洞化も歯止めがかからず経済の地盤沈下が進む現在の福島市には、行政と経済団体がいがみ合っている余裕はない。瀬戸市長にすれば、まさに晴天の霹靂といった庁舎移転問題だが、福島市の行く末を考え、後に禍根を残さないような解決を期待したいところだ。(T・S)