福祉建築に生かせ! 音楽療法の効果。
福島県建築士会須賀川支部女性部会

福島県建築士会須賀川支部女性委員会(安田リカ委員長)は15日、「音楽療法セミナー」を須賀川市内の産業会館で開いた。 音楽療法とは、「音楽の持つ生理的、心理的、社会的働きを用いて、心身の障害の回復、機能の維持改善、生活の質の向上、行動の変容などに向けて、音楽を意図的、計画的に使用すること」(日本音楽療法学会の定義)とされている。 近年、痴呆性老人や脳梗塞患者などに対する音楽療法の効果が学術的にも認められてきており、一部の高齢者介護施設などでは、音楽療法のための設備を設置するところもある。福島県建築士会須賀川支部女性委員会では、そうした施設を設計する機会もあるため、「音楽療法」に対する知識を高める一方、地域の住民にも紹介することを目的に今回のセミナーを主催した。
 セミナーでは、日本音楽療法学会認定音楽療法士の近藤美智子氏が、「生活の中における音楽療法の位置付けについて」と題して、音楽療法の基本的理解や音楽療法と脳波との関係などについて語った。音楽療法の実践事例として、定年後、自信を無くしていた男性が人前で歌ったカラオケを誉められたことによって自信を取り戻した例や足の不自由な患者が音楽を聞いたことによって無意識のうちに歩行した事例、あるいは自殺を実行しようとした若者が直前に聞いた音楽によって自殺を思いとどまった例など、音楽の持つ人間性回復の可能性を説明した。
 当日は女性を中心に100名ほどが参加し、歌やダンスを交えた講演に終始にぎやかな笑いの絶えないセミナーとなった。(05.1.17)


【取材メモ】
 セミナー開始前に今回のセミナーの後援である福島県建築士会須賀川支部の土田信雄支部長(土田建築設計事務所)にお話を伺った。同氏は「目先の利益より10年先を視野に入れた仕事を」が持論であり、今回の「音楽療法セミナー」にもそうした考え方が反映していたように思える。音楽療法と建築設計とは一見無関係のようにも思えるが、こうしたセミナーを通じて地域住民が集う機会が増え、近年希薄になっていると言われる地域住民の共同体意識が高まり、引いてはそうした住民意識が街づくりに反映されるというわけである。
 いまの時代、すぐに利益になる仕事が欲しいのは誰でも同じであるが、遠回りのようにみえても地道に種を蒔く須賀川支部の取り組みは、他の団体、あるいは個人にも大いに参考にすべきところがあるように思える。(T.S)

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