「県産材」使用100%をめざして!

地元で生産したものを地元で消費する、いわゆる「地産池消」の推進に取り組む福島県。農産物での取り組みは食に対する「安全・安心」が全国的に叫ばれ、県内でも地元の野菜を中心に地産池消が進んでいるのは誰もが認めるところだ。だが海産物の世界ではイマイチ信じがたいものがある。
 例えば、「シシャモ」という言葉で「柳葉魚(ししゃも)」を連想するが、本来は世界中を泳ぎ回っている「柳葉魚」であれば、店頭では「シシャモ」として販売され、どれが本当の『柳葉魚、ししゃも、シシャモ』なのか分からない。そのほかの海産物でも同じことが言えるだろう。食肉などは「産地」ひとつにしても大変な騒ぎである。野菜類の世界でも消費者が「産地」にもっと厳しい目で見れば、さらに「安心と安全」が約束されるはずだ。
 だが、野菜や魚介類、食肉に比べもっとすごいのが「住宅建築」の世界だ。ある工務店の社長が言うには、家一軒建てるのに「県産材」が使われているのは、全体の10%に満たないというのだ。「優良材」といわれるブランド材は県外の木材業者が高値で引き取り、県内で一般建築材として使われることはめったにない。こうしたブランド材は、「秋田杉」で名高い秋田県に行けば、「秋田杉」として全国各地に出回っていく。木材市場で売られるそうした「杉」も原木を製材した会社の屋号が焼印されても「産地」が明記されることはまずない。
 これは「シシャモ」の世界と同じで、一般人には特産地を見分けることなど不可能である。だが「産地」を偽って販売したスーパーの「食肉産地偽装」は社会的にも問題となったことがある。元食肉販売業者のベテランが「国内産」と「国外産」を指先の感触と色で見分けた『感』はお見事と言うほかなかった。農産物や木材の世界でも“産地偽装”が問題にならないのは摩訶不思議なことである。

消費者に産地を明らかにしてこそ勝ち取る信頼

 ブランド材で名高い秋田杉の産地である秋田県の山という山はいま「ハゲ坊主」に近く森林が消えるのではないかという状態だというが、福島県内の森林は逆に荒れ放題なのである。その原因は価格の下落にある。県がまとめた杉素材の平均価格は、平成2年には約2万7000円/・だったのが、平成13年には1万7000円/・台に落ち込み、年を追うごとに価格の下落に歯止めが利かない。こうした価格の下落から林業から離れる生産者は後を絶たず、山は一段と荒れて、ブランド材と呼ばれる木材の生産量は落ち込むのである。国や県の政策はこれまで本気で「生産者保護」に取り組んできたのかが疑問だ。「地産池消」を本気で唱えるのであれば、それなりの政策を示すことが肝要だ。将来、深刻な食糧不足が叫ばれている日本だが、林業もまた同じ道を歩むことになるのか。
 「地元で生産されたものを地元で消費する」ことの基本は、まず生産する側の確保に他ならない。「間伐」や「枝打ち」を疎かにすれば、木目の美しさをより美しく見せる“生き節”を産むことなく“死に節”となって一段と木材の値段を低下させる原因となる。何と言っても生産者の「やる気!」を向上させる必要がある。さらに「県産材」を消費する側にもメリットがなければならない。「これ、安いけど産地は何処?」と聞く消費者に産地を明らかにしないで無言で販売するなどもってのほかだ。野菜も魚介も木材も「産地と値段と生産時期」を明らかにしてこそ消費者の信頼を勝ち取る結果に繋がる。
 全国一律の家づくりをめざす大手プレハブメーカーと違い、地元の工務店だからこそ、地元の木で地元の気候風土に適した家づくりが出来るのである。外観の「見てくれ!」にだけ心を奪われる若い夫婦の家づくりに「これが地元の家だぞ!」と示すことが出来る工務店を育てるのも行政の使命である。そうなれば、林業生産者も住宅建築業者も「県産材使用100%」をめざして頑張るのである。(04.12.16)

福島県木材の利用に関するホームページ
http://www.pref.fukushima.jp/forestry/mokuzai/moku_index/mokuzai.htm

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