特許を受ける権利は誰のものか?
中小企業は知財で「担保融資」を

 新技術の発明や開発に関する所有権、いわゆる『知的所有』の帰属問題などが注目を集め始めているなか、知的所有権に関するセミナーが12月1日に福島大学で開かれた。『研究開発と特許』と題された同セミナーは、福島大学地域創造支援センターおよび社団法人発明協会福島県支部の主催によるもので、研究者や民間事業者ら30人ほどが集まった。
 知的所有権の帰属問題は一般には、青色発光ダイオードに関して、発明者にその発明の貢献度に見合う対価として200億円の支払いを企業側に命じた判決でより多くの注目を集めた。研究者個人と企業との間の発明をめぐる利益分配のあり方が問われた。
 また、知的所有権をめぐっては、折角の新技術・新発明が発明者が特許を申請しなかったことから、他者に無断で流用されたりするケースが多く、特に福島県内では、知的所有権に関する意識は他の都道府県に比べて低いと言われており、そうした知的財産の意識の高揚が今後の地域経済の活性化のカギとされている。福島大学では理工系学部の増設によって今後、民間との共同研究や委託研究などのいわゆる『産学官連携』が加速するものと考えられ、連携のより一層の拡大を図るためにも、こうした問題に取り組んできている。
 セミナーではまず、講師として招かれた弁理士の田村爾氏(プロメテ国際特許事務所)が『職務発明を中心として』と題する講演を行い、1)権利は誰のものか、2)共同研究・受託研究等の留意点、3)大学における利益相反等、4)営業秘密の管理の4点を中心に話を進めた。講演の中では、そもそも『発明者』とは誰を指すのかといった原則論から、大学が民間事業者と共同で研究を行った場合の発明技術の特許権の帰属や大学側による企業側の営業秘密の管理などについて話が及んだ。

開放特許を小企業等の新規事業創出に生かせ!

  引き続き講演した福島県知的所有権センターの特許流通アドバイザーの相澤正彬氏は、「研究開発と特許」について、「日本の科学技術についての評価は高いが国際競争力は1991年の世界第1位の地位から2002年には30位までに転落した。だが、2004年あたりからは23位前後に回復してきているが、科学技術力を国際競争力の強化に生かし切れないのが現状だ。20年後の日本の産業力を支えるのは『技術開発力』と『知的財産』であり、産業の国際競争力を維持するためには、独創的研究開発とその成果の保護強化が不可欠な要素となる」と語った。また特許の実態については、「現在、全国の保有特許は約100万件あり、実施されている特許は約1/3の約34万件、未解放は約32万件だが、開放されている特許も34万件あり全体の3分の1は活用できるもの。その特許を保有するのは大企業や大学等だが、産学官の連携で特許はいくらでも流通活用できる。これは中小企業等の新規事業の創出に繋がるもので、研究と改良を考えれば、新規に参入することより大いに活用が見込める」と大学と地元企業との連携と大学側の役割も提言した。

 平成14年7月に策定された「知的財産戦略大綱」の具体的な行動計画としては、
1.大学・企業における知的財産の創造の創出と推進
2.営業機密の保護強化といった知的財産の保護の強化
3.大学等からの技術移転の促進や企業の戦略的な活用
4.国民の知的財産への意識の向上
5.国レベルの知的財産戦略本部の設置等の大綱の実地
を柱に政府一体となって、2005年までに集中的、計画的に遂行すること。
 これを実行するには特許流通市場の未整備や人材不足、特許契約の経験不足等の解消に努め促進施策を進めること。その促進を図るためにはまず、開放特許による技術移転や新製品開発の活発化が重要であり、特に大学や研究機関等の研究成果を有効に活用し地域の振興に役立てること。その技術を導入したいという中小企業は80%がその必要性を認識している。特に、特許提供者(ライセンサー)の約42%は大学機関と中小企業の34%が全体の約8割を占め、特許導入者(ライセンシー)の71%が中小企業が占めている。 さらに、特許流通を促進させには、戦略的な特許活用と技術移転、新規事業創出を視点に入れた取り組みが大切で、特許に経済価値を見出すには、知財に対する担保融資や資金調達できる担保価値をさらに見出すことだ」と絞めた。(04.12.2)

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