新分野取り組みの現状、課題、問題とは?
「経営の合理化」を講演と意見交換で学ぶ

 国策で建設投資の減少に歯止めのかからない公共事業。全国各地で建設業者の新分野進出や多角化異業種への参入などに生き残りを賭ける取り組みが始まっているが、県土木部建設行政グループは1日、この分野で活躍する米田雅子氏(NPO法人建築技術支援協会)を福島市に迎えて、県内で既に新分野で取り組む業者から、「その現状と課題について」の意見交換会を開いた。出席した建設業・造園業・建築業、環境設備業などからは、取り組みのおもしろさや難しさなど、さまざまな意見が交わされた。米田氏は参加者にインターネットを活用した取り組みなどを紹介し、参加者に適切なアドバイスをおくった。米田氏らは、これを前に三春町で木酢事業に取り組む郡山市のトーカン(有馬一郎社長)の木酢工房の工場を見学した。

ストック事業、コンバージョン事業、DIY事業?!

また、意見交換会に先立ち「福島県建設業経営合理化講演会」が開かれ、講師を務めた米田雅子氏は、「建設業の新分野進出〜全国の事例から〜」と題して講演した。米田氏は、講演の中で新たな事業展開が考えられるものとして、農業、環境リサイクル、介護福祉などを挙げ、事業展開には、地方自治体などの公的支援を受けることが大切と語った。こうした取り組みは、特に日本海側や積雪地域、公共事業の比率が高い地域で一段と進んでいると述べ、日本社会は2010年ごろには、新設からストック(既存、蓄え、在庫)への転換事業、さらに開発から環境へとシフトする事業が25兆円から38兆円産業に飛躍すると指摘した。

 中でもコンバージョン(交換、用途変更・転用)事業や、技術が差別化をもたらす建築リフォームへの進出、建物の管理や清掃業、総合ビルサービスといった建設業のサービス化のほかに、規制緩和が進む公共施設の管理・維持運営などのサービス業務業、さらにDO IT YOURSELF(自分で作ること。日曜大工。DIY)の販売からの関連工事の受注、土壌汚染対策法をバックとした土壌・水質浄化などの業務、計画法や立地法に基づく屋上緑化やヒートアイランド減少による表面温度の上昇を抑えた環境舗装材の開発、また光触媒や間伐材を利用した塗料や木工沈床などの環境指向の建設関連分野進出が有望だと説明した。

社会変化の一歩先に新分野のニーズあり!

異分野である農業分野では、建設会社のままで参入する方法と農業生産法人を設立して、取り組む方法を挙げ、北海道・芙蓉建設、舟山建設、日野組、橋場建設、田中建材の紹介をはじめ、造園と畜産の循環型農業の島根・もちだ園芸、無農薬有機栽培の愛知・金亀建設、木廃材から高性能の炭を製造してリサイクル事業に進出した東北カーボンの山形・勝村建設、建設汚泥リサイクルの長野・大廣建設、結城廃棄物リサイクルの青森・岡山建設や三重・山本工務店などを紹介した。介護福祉では、滋賀・北川建設、ITへ進出した福島・会津土建、コミュニティビジネスへ進出した東京・芝園開発などを紹介した。米田氏は挑戦のポイントと成功の秘訣を、「社会変化の一歩先にニーズがあり、そのニーズに業態をあわせて取り組むこと。自分の好きなこと、やりたいことを見つけて専念すれば、その分野の専門家として会社は軌道に乗り成功する」と結んだ。(04.11.4)