【寄稿】

「人の住まないマチは、街ではない」

フォトジャーナル 長尾昌克(福島市)

 私はスタジオ撮影や芸術カメラマンの方々と違い、イベント等や記録用の撮影取材が多く、街中や県内をさまよい歩く自称・放浪カメラマンです。職業柄いろんな場所へ出掛けて行っては写真を撮っていますが、現在はどのマチに行っても、郊外には広い駐車場が完備した大型流通店舗が存在し、それなりに活気が見られます。しかし、肝心の目抜き通りといえば、車の往来はあっても人影はまばらで、シャッターを降ろした空き店舗が目立ちヒッソリとしているのが現状です。いつの頃から市街地の空洞化が叫ばれるようになったのでしょうか。そして何故そうなったのでしょうか?
 この9月1日、福島市の中心市街地・早稲町に「ラヴィバレ一番丁」という名称の複合拠点ビルが新たに誕生しました。私は、同ビルを建設したMラヴィバレ(旧福島丸公商事)の石本朗代表取締役からご依頼をいただき、オープンセレモニー等の撮影をしました。当日の式典撮影以外にも、新築された同ビルの景観撮影のポイントを捜し求め、周辺地域も歩き回りました。同地域はJR福島駅西口に隣接していることから、マンション群も立ち並んでいます。でも、大通りから道一本外れているため、近年は朝夕の通勤・通学者等で多少の人通りがあっても、日中は他都市と同様に寂しい街並みとなってしまいました。しかし、オープン以後は同ビル一階の生鮮食品市場のビニール袋を提げた市民や近隣の会社に勤務するOL嬢と同地区内で出会うようになり、以前よりは生活感が感じられるようになりました。
 目まぐるしく変貌する現代、何が起きても不思議ではありません。でも、どう変わろうとしても福島市が日本の中心都市・東京や政令都市・仙台市に勝る都市にはなり得ないのです。ならば、東京都民や仙台市民か福島市に魅力を感じ来福するような、他都市にない“街づくり’を推進するのが手っ取り早いのではと私は考えるのです。複合拠点ビルをラヴィバレと命名した石本社長は、イタリア語の「Ravel VARE(ラッヴィヴァーレ)」を基にした造語で、「再び」、「蘇る」、「活気づく」、「元気になる」などの意味が込められていると説明してくれました。私は以前から福島市のような地方都市は、住居と商店街が混合してこそ、街が形成されると考えていました。この福島市早稲町に複合拠点ビル「ラヴィバレ」が出現したことで、私は多少なりとも「街」を実感することが出来ました。
                             2004年 9月 15日