新江戸時代をめざした
新エネルギー・ハイブリッド利用(3)

 

日本大学工学部機械工学科
熱機関研究室
助教授 渡部弘一

7.日本大学工学部の風力/太陽光/小水力/蓄電池ハイブリッド発電システム

分散型発電システムの構築を考える

7−1ハイブリッドシステム構築の背景
 近年のエネルギー事情は、地球環境の問題、石油枯渇の問題、エネルギー不足の問題等、安定した電力供給の方策が急務となっている。また先進国の電力需要は、昼夜の変動が大きく、電力供給の平滑化が難しく、最大需要量に的を絞った発電量を必要としている。地球環境を考慮した電力供給を満足させるには、必要電力に応じた分散型発電システムの構築を考える必要が出てきた。

 大きな工場では小型ガスタービン発電機の採用や、排熱を利用した蒸気夕一ピン発電機などの設置によるピーク電力の補充を考えられている。これらは大きな電力を必要とする企業等で利用できる良策である。本システムの構築は公共施設、教育・研究機関、中小企業等のように比較的中規模の電力需要を要する、電力の一部を新エネルギーで補い利用する考えである。
 とくに太陽光、風力、小水力等によるそれぞれの発生熱量の特性を有効的に組み合わせて制御し、安定した発電システムとして組み立てることに着目した。本学部が位置する中山間地では、地理的影響による気象上発生しやすい雲と、年間平均風速が小さいため、太陽光および風を利用する上で、海岸沿線地域に比べて利用効果が低いとされている弱点に、敢えて有効利用法を確立することを目的とする。
 また、本研究では、中山間地に位置する公共事業体、中小企業等が新エネルギーを活用する上で、有効な方法を検討、新エネルギーの特性を生かした、ハイプリッドシステム化による利用を図ることで、大学構内の使用電力の安定した電力供給を図る。


循環環境共生社会の創出に向けてへの啓蒙・啓発

7−2研究概要
本発電システムは、風力発電システム(40kW)と太陽光発電システム(20kW)で発電した電力を、共生共同研究センター内に設置する受変電設備介して、センター内の負荷や、工学部内の負荷に供給するものである。本システムは近年の地球規模での環境間題に対し、クリーンな自然エネルギーの利用による循環環境共生社会の創出に向けての、啓蒙・啓発の一翼を担うとともに、自然エネルギーの研究開発を円滑に進めるためのものである。


(1)研究計画初年度の平成14年度は、風力発電システムの設置に当たり、以下の条件を考慮した。

a.本学の風の状況に合わせ(年平均2.65m/s)発電開始速度が低いこと。
b.学内での運転を考慮して騒音レベルが低いこと。
c.自然エネルギー利用の啓蒙・啓発の目的から、稼働率が高いこと。
d.本学内の設置にふさわしい優れたデザインであること
e.本学の学術研究の対象とするため、設計開発者の技術的な支援を得られること。
f.研究に使用するため、運転諸元(回転速度、ブレードピッチ角度、ヨー(首振り)角度)の設定、制御が可能なこと。
g.国内の関連法規に適合していること。
h.様式:
  軸方向:水平軸、回転数制御:可変速、タワー様式:モノポール、高さ:ロータ下端は近傍の樹  木(約13m)以上の高さであること、ローター上端は福島県景観条例を遵守していること。
i.仕様:
  定格出力:40kW、設計耐用年数:20年、電力出力方式:3φ/200V、50Hz、保護回路:電力  系統と連係するための確保後回路を有していること。


太陽光発電システムの条件とは?

また、太陽光発電システムについては、以下のような条件とした
a、太陽電池出力:20kW
b.太陽電池の設置:共生共同研究センターの2階屋上に設置し、その出力は接続箱を介してひとつに集めた後、太陽光インバータにより、電力系統に連係するものとした。
c.太陽光インバータ:太陽電池からの直流出力を商用交流出力(1φ/210−105V、50Hz)に変換する。
d.日射計:傾斜面日射量を測定し、インバータに出力すること。
e.気温計:気温を測定し、インバータに出力する。
f.架台:太陽電池重量及び風荷重下で太陽電池を保持できること。
g.バッテリー:蓄電容量を10kw/8hr
h.充放電制御盤:バッテリーと太陽光インバータを制御することにより、以下の運転ができること。
i.負荷平準化運転、余剰電カによる充電運転、停電時保安負荷への自立供給運転。
j.記録解析装置:記録解析装置は太陽光発電システムから、システムの運転状態に関する各データを蓄積し、処理する装置である。


図-7新エネルギーハイブリット発電システム構想

ハイブリッド発電システムの研究課題

7−3研究方法
新エネルギーのハイブリッド発電システムを構築するに当たり、研究課題として以下のようなものが
挙げられる。

a.風力エネルギーは、風速の3乗に比例するので、年間平均風速を用いた予測発電量は実際の出力との誤差が大きくなる点を実証検討が必要。
b.風力機周辺の騒音レベル、騒音周波数域の分析、騒音発生のメカニズムを研究。
c.景観・不快感等を考慮した、風力機の適正回転数、翼の形状、高効率発電機等の検討。
d.風力および太陽光発電による供給電力の平準化システムの検討。
e.風車への落雷防止対策の研究
f.太陽光発電について、低コスト、高効率のための、発電システムの研究
g.長寿命化のための、バッテリーの充放電制御システムの検討。
h.ハイブリッドシステムによる供給電力の有効なデマンドコントロールの研究。
i.ハイブリッドシステムによる構内電力のピークカットコントロールシステムの研究。
j.トータルコストを考慮した太陽光発電システムの検討。
k.教育啓蒙啓発のための情報公開システムの研究。
l.その他
(次回は最終回へ)