特集:市民から問われる「談合」

「何を為すべきか」がいま問われる!
「談合」で動き出した市民団体

相も変わらず新聞社などに寄せられる「談合情報」。「落札業者がすでに決まっている」というお決まり通りの文面で記事となる。そしてまた、発注側もお決まりの「入札業者から事情聴取を行った結果、『談合はなかった』と判断し入札を行った」とする発注者側のコメントを流す。結果は情報通りの業者が落札するか、9月3日付の福島民報22面の1段見出し「談合情報の郡山市発注工事で入札、落札は別業者」という場合もある。どちらにしても不透明なまま入札は執行される。いちいち新聞社の「談合情報」に振り回されたのでは、発注者や入札業者はたまったものではない。入札が終わってしまえば何もなかったかのようにいつもの静けさに戻る。何の解決にもなっていないのが現実である。本当に「談合は悪いのか」を未解決のまま残し、国の政策は現場を知らない有識者や一部のお役人たちが「机上の空論」を喧々囂々と論じあって決定していく。「決して談合などあり得ない」とするシステムにも、「談合」という言葉は存在する。

 もうひとつ、未解決のまま残されるのが、談合情報を寄せた人物像である。「何のために、何の目的で、どのようにして欲しいのか」が見えない。勝手にその人物像を予想すればー
1.指名に入らなかった腹いせに新聞社に情報提供。(だが、この時はすでにこの人物は落札業者を知っていた。同じ「談合」に加わっていた。ことが前提条件だ。)
2.指名替えになれば次は指名される可能性、落札することが可能な人物(談合には混ざってなくとも、情報は入手できる。)
3.あの会社だけには絶対に取らせたくない人物(落札者を知っていなければならない)
4.談合情報を流すだけで利益に成る人物(指名替えを第一の目的に、または入札そのものをプチ壊すことで利益になる)
などさまざまなケースが考えられるが、このような目的で情報提供したら、入札妨害であり、「談合」という言葉を盾にした犯罪であり、犯人ということになるのではないか。未だに、一度も提供者が明らかになったことがない。発注者側も警察も提供者を見つけだしたという記事は載らない。これもまた不思議である。

 問題なのは役人の形ばかりの事情聴取、それを野放しにしておく業界の体質、発注者と業界との馴れ合い。「犯人」も仲間のひとりという「仲良し倶楽部」意識。お互い喰うためには仕方がないという安易さ。そんなところを市民団体は見過ごさない。毎回、毎回新聞を賑わす「談合記事」に何の変化もない。発注者側も受注者側も馴れ合いの中で「市民の血税」を勝手に使っているのかという市民の怒りは頂点に達している。こうした談合を絶滅させるためにはどうすべきを考える市民団体が8月31日、全国規模で大会を開いた。天(国)からは押さえつけられ、地(市民)からは突き上げられてている現在、市民は我々(業界)に「何を求めているのか」を無知ではいられない。


「入札制度を改革して談合を追放しよう」
法を無視した入札制度こそが談合の温床!

ここにひとつの決議文を披露する。
私たちは今大会で、全国の都道府県および主要都市が発注した公共工事の入札調書にもとづき、落札率の分布および平均落札率を検証し、各自治体の入札契約制度の抱える問題点を究明した。その結果、問題は極めて鮮明になった。
一般競争入札を大幅に導入した自治体では、入札参加者の間で競争が確保された結果、落札率が予定価格の80%台に下がっているのに対し、指名競争入札制度を墨守している自治体の落札率は限りなく100%に近い。残念ながら、多くの自治体はいまだに後者に属している。
公共工事の落札率が仮に10%下がれば、支出は国と地方をあわせて年間約2兆円節約されるという関係にある。そして、会計法、地方自治法の規定の上では、一般競争入札が原則であり、指名競争入札は極めて例外的に許可されるものである。
 それにもかかわらず、わが国の実情では、過去も現在もこの原則と例外が全く逆転している。その上、入札参加者の範囲を、行政区や土木事務所の管轄区域に事実上限定する運用がなされてきた。このように法の原則を無視した入札制度こそが談合の温床となり、税金の無駄づかいを支えてきたのである。

 入札制度改革に抵抗する側の代表的な意見は、「落札率が低下することは工事の品質の低下を招く」、というものであった。しかし、落札率と工事の検査成績との間に相関関係が存在しないことは、改革後2年余の歴史をふまえた宮城県の調査によって明らかになっている。
 また、「中小建設企業を保護する」という政策目的は、工事の分割発注や入札参加資格の上限設定などによって実現することができるものであって、指名制や地域要件の撤廃と矛盾するものではない。
指名制と地域要件を原則として撤廃することによって、談合を追放し、巨額な公金の無駄づかいを防止することは、今やすべての発注機関がただちに実行すべき法的義務であると言うことができる。
 我々は、中央、地方の公共事業発注機関が掲げている「入札制度改革」の旗印を真に実効あるものとするために、以下の措置がただちに取られるよう提言する。
1. 予定価格250万円以上のすべての公共工事を一般公共入札の対象とし、地域要件を原則として撤廃すること
2. 予定価格を含む入札結果情報は、電磁的情報の形でも情報公開し、公正な競争の有無を国民が容易に検証できるようにすること

以上

2003年8月31日
第10回全国市民オンブズマン大会 in 仙台
参 加 者 一 同


福島県は全国で40位、福島市は33位の落札率
節約可能な額は福島県6億円、福島県7億円

この決議文を裏付ける資料がある。全国市民オンブズマン連絡会議が提出した「入札調書の分析結果についての報告」だが、調査のねらいには、入札制度改革を進め、談合を防止し、公共事業費の大幅削減が可能な状況をつくりだすための基礎データの収集と入札制度改革を進めている先進自治体を孤立させることなく、改革の流れを全国的なものにしていく契機とすると唱っている。調査対象は2002 年度中に発注された工事を情報公開に基づいて請求して分析したものである。

 全国47 都道府県と13 政令指定都市の予定価格(税抜き)1 億円以上の工事(東京都は3 億円以上、神奈川県は1 億5,000 万円以上が対象)の都道府県5,504 件 と 政令指定都市1,786 件分だ。それに35 県庁所在地市と8 任意参加市の予定価格(税抜き)5000 万円以上の工事で県庁所在地市 2,267 件と任意参加市 252 件が対象となり総 合計 9,809 件の分析結果が公表されている。
 その結果、都道府県で最も落札率が低かったのは宮城県の86.77%。次いで91.84%の高知県、92.07%の滋賀県と続き、福島県は40位で97.16%となっており、限りなく談合に近い落札率となっている。宮城県との落札率の差は10.39%で、公開された入札件数22件(全国最低の公表件数)の節約可能な額は6億円を超えている。全国累計では1612億円と試算された。

 また、政令市除く県庁所在地35市の落札率で最も低かったのは、鹿児島市の67.67%。次いで岡山市の79.93%、鳥取市の80.80%と続いた。福島市は33位で98.69%と3番目に高い結果となっている。同様に宮城県との落札率の差は11.92%で、節約可能な額は7億2800万円である。入札件数は72件でそのうち複数回で行われた入札は9件、一位不動も9件あった。県庁所在地市の節約可能な額は累計で229億円と試算した鹿児島市の一位となった要因には、予定価格200億円の焼却炉を105億円で落札した背景がある。また、この調査では全国の公共事業で2391億円の節約可能な額が算出された。


「談合の疑いが強い」県は全国14位
落札率90%未満の工事は皆無!

 またこの調査では、各工事の落札率が95%以上を「談合の疑いが強い」とし、95%以上で落札された割合を算出し、談合疑惑度と名付け、落札率95 %以上の工事の割合の多い自治体から順に並べている。トップが島根県で96.38%を占めているほか、2位の鹿児島県でも94.76%、3位の栃木県も94.00%と高い。福島県は14位で、落札率95%を占め「談合の疑いが強い」度合いは全体の86.36%あたる工事が対象となり落札率90%未満の工事は皆無であった。

 このような結果から、誰もが入札に参加でき、誰が入札に参加しているか分からないとする一般競争入札を徹底すること、さらに全国に宮城県、改革後の長野県の入札制度導入を全国に広めること。また、予定価格の合理性に注目することと、談合疑惑率と落札率の調査を続けていくという。


■詳しくは情報公開市民センター
http://www.jkcc.gr.jp/