経営者のための実務イロハ講座
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解雇ルール明記など労基法改正
労働環境の変革へ対応迫る!


解雇ルールの法制化などを柱とする改正労働基準法、労働者派遣法改正などが6月に成立した。労働環境を大きく変える労働関連法の主な改正点は次の通り。
<労働基準法>
・解雇ルールを労基法に明記(使用者が正当な理由なしに解雇した場合は無効。就業規則に「解雇事由」を明記。労働者が解雇される前に理由の開示請求が可能、など)
・有期労働契約期間の上限を1年から3年に延長(専門職と60歳以上は3年を5年に延長)
・企画業務型裁量労働制を本社以外でも導入可能にし、要件を緩和。
<労働者派遣法>
・派遣期間の上限を1年から3年に延長
・製造業への派遣を解禁
・専門性の高い26業務について3年の派遣期間上限を撤廃する、など。

労基法に、解雇ルールを「不当なら無効」と明記した背景には不当解雇(解雇権濫用)を抑制するのが狙いで、これまで裁判の判例に頼っていた解雇事由の不透明さがぬぐえる点で前進といえよう。改正労基法には解雇が無効となった場合、労使双方が金銭での解決を請求できる仕組みも盛り込んである。ただしこれを乱用すれば経営側が無効と分かっていて解雇し、金銭処理に持ち込む悪例も生じさせかねない。
裁量労働制の拡大、有期雇用の期間延長などの改正と合わせ、労働者側に働き方や雇用の選択肢が増えたのは歓迎されるが、労使双方がその運用面で慎重に取り組むことが何よりも肝心である。

競馬の払戻金は一時所得対象だが
建て前だけの課税は止めるべき!

 宝塚記念で約2億円を稼いだ男が話題となった。競馬の払戻金は、懸賞の賞金品などとともに一時所得の対象となる。一時所得の金額は、「総収入金額−収入を得るために支出した金額−特別控除50万円」で計算し、その2分の1が課税される。サラリーマンであれば、その合計が年間20万円を超えれば申告義務がある。
 ところで、一時所得の計算方法で不満に思うのは、損益通算できないことだ。負けたレースでの損失は考慮されず、勝ったレースでの儲けだけを積み上げていく。必要経費は、当り馬券の投資額しか認めてくれない。特別控除の50万円も、個別ごとではなく年間の一時所得の合計額から1回引けるだけである。

 例えば、年間200万円を競馬に使って、一時所得が20万円を超える合計100万円程度の儲けがあっても、まだ100万円も負けているのだから、どう考えても当人は申告する気持ちなど起こらないだろう。
 一方、競馬や競輪などの払戻金については、JRAに支払調書の提出義務がなく、源泉徴収されない。身分証明書の提示も求められないから、誰が高額の払戻金を受けたか分からない。つまり、税金を納めてもらうためには、本人の自主申告を待つしかないことになる。
競馬で大儲けしても、どうせ税務署は分からないのである。こんな“建て前”だけの課税は止めて、競馬などの払戻金は非課税にしたほうがすっきりするとの声が多くでている。

「会社設立」一段としやすく
最低資本金規制を完全撤廃へ

2005年に行われる予定の商法改正で、政府は現行の最低資本金規制を撤廃する方針を固めた。これによりすべての企業が無条件で資本金が1円でも起業できるようにし、起業の活発化を通じて民需主導による経済活性化につなげるのが狙い。
今年2月、中小企業挑戦支援法の施行で商法の最低資本金規制の特例として、資本金が1円でも起業できる制度を導入した。あくまで特例(株式会社は5年後に1000万円増資が条件)だけに、起業家の間には5年後の増資が心配との声が出ていた。
 同支援法に基づく会社設立の申請は既に1500件を超えている。政府はさらに起業促進を図るうえで特例による時限措置ではなく最低資本金規制そのものを廃止し、その後の増資はしなくてもいいようにすると判断した。

 米国には最低資本金制度というものがなく、これがベンチャー起業の設立増につながり90年代のアメリカ経済の拡大をもたらしたといわれる。日米の開業率は3.1%対10%と大きな差が出ていて、特に日本は70年代(6%弱)の半分となっている。この点からも同規制の廃止を求める声が上がっていた。
最近ではITの進歩によって少ない資本金の知識集約型のビジネスが広がっている。資本金の多寡が相手方に信用や取引の絶対条件にはなっていないことも指摘されていた。政府は起爆剤に「大学発ベンチャー型起業」を描いている。

個人所得課税強化で富裕税復活?
欧州諸国では長い歴史を持つ税

 今後の税制改革は、当面、公的年金等控除をはじめ所得税の各種控除の見直しが焦点となるが、遺族年金や失業給付といった非課税給付にもメスが入れられるという。
もちろん、低所得者層に配慮はあり、一定額以上の所得・資産がある富裕層が相応の負担増となるようだ。それならいっそのこと「富裕税」を復活してはどうかとの意見もある。
 富裕税は、資産の保有者ごとに総資産から総負債を差し引いた純資産の総額に課税する税金である。わが国では、シャウプ勧告を受けて1950(昭和25)年に導入されたが、資産の包括的な把握や評価など税務執行上の問題があったことから、3年で廃止されている。しかし、フランスやノルウェー、スウェーデンなどの欧州諸国では、おおむね1900年ごろに創設された長い歴史を持つ税制度として知られている。

 例えば、フランスでは、0.55〜1.8%の6段階の税率で課税し、税収約2000億円は国税収入の0.7%を占めている(1999年)。
 しかし、宝石や無記名債権など課税上で把握が難しい資産があることや、資産の評価が難しいといった問題がある。わが国での導入を検討する場合の最大の課題もこの辺だろう。
一方、今後のわが国の税制が所得・資産の保有の状況で線引きして負担増を求めるとなれば、その正確な把握の必要性は重要になる。いずれにせよ、納税者番号制度の導入を本格的に検討せざるを得ない時期にきているようだ。

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派遣解禁 従来の労働者派遣法(人材派遣)では派遣禁止5業務(モノの製造、港湾運送、建設、警備、医療関係)が法改正によって工場など製造現場への人材派遣が解禁となった。電機、自動車、精密機械、食品業界などではライン業務を請負会社に委託する例が広がっていたが、これでは会社側の直接指揮ができなかった。しかし高度な生産工程では弾力性に欠けることが直接の理由の他、生産調整などの機動性も視野に入れた雇用改革を進めたい企業側の声に押され法改正に至った。

最低資本金規制会社に一定額以上の財産を確保し、取引先などの債権者や従業員を保護するのが目的。特に中小企業の経営体質を強めることも眼目にあった。90年以前は株式会社が35万円、有限会社が10万円だった。しかしバブル時、実体のないペーパー企業が増えたことを背景に、倒産の際の十分な債権者保護を重視する政策に転換した。90年の商法改正で株式会社は1000万円、有限会社は300万円に引き上げられ現在に至る。取引先の信用判断の目安に資本金の大小は3%(経産省調査)。