電力不足の夏が来た

 この夏は一体どうなるんだろうか。目下、7月の気温は平年より低めで、むしろ稲作はじめ農作物の生育が心配されている(7月16日現在)。でも、やがてカッと照りつける真夏の太陽が顔を出す。その時、東京の電気は・・・。

 東京電力原発17基のうち、2基(福島1、新潟1)は発電を開始し200万キロワットを超す電力が首都圏に送られ始めたが、この先は見通しが付いていない。一方では“首都停電”の報道で、都民の中でようやく切実な問題として認識されるようになってきたが、電力の絶対数不足は新たな問題をはらみ始めた。東電管内の1500の主要変電所では電力が足らなくなったら、配電を止める順序が予め決められていて、それが首都圏優先となっていることだ。つまり東京を守るために関東各県を“犠牲"にする計画なのである。

 関東各県は早くも不満たらたらだが、特に各県警本部の交通担当は道路の信号機が停電することに神経を尖らせている。消防関係者はエレベーターがストップして中に人が閉じ込められた場合を想定し、衛生関係者は上水道の給水停止を、保健衛生部は冷凍ケースの電力ストップに伴う食中毒を今から心配している。中でも深刻になりそうなのが病院だ。3年前の2000年問題の際は福島県内の大病院でも大晦日の夜に一大警戒網を張ったが、これが常時続くとなったら大変だ。だから経済産業省原子力安全・保安院は、続けて原発の発電再開を実現させようと、7月I8日に福島第一原発3号機と第二原発1号機の安全宣言をやった。これを機に全面運転再開の論議が高まって来るだろう。

 これまで福島県佐藤栄佐久知事がとってきた姿勢は毅然としたもので、是とすべきものだった、と評価してよいだろう。つまり、今回の騒ぎの根源は何度も言うようだが、東電側の地元を蔑ろにした事故隠しの体質である。我が国を代表するような大会社の隠蔽体質と地元を踏みにじっても企業利益を優先させる経営姿勢が問題なのだ。だから、この体質を改善し終わって「安全・安心」が確認されないうちは再開は認められない、という哲学の下で「個別に判断」する方針を貫いてきた。これでいいのだ。首都圏の中に、自分たちのライフラインは福島県から与えられている、と強烈に認識させた上での全面再開、とゆきたいものだ。(2003・7・18)
元福島民報社専務取締役
編集局長 星 一男