小泉さんの理屈おかしいよ

 通常国会も会期末になって40日間の会期延長が決まった。イラク支援法案の今国会成立を目指してのことである。そこで国会では、またぞろイラクの大量破壊兵器のあるなし論議が蒸し返されている。確かに、あれほどアメリカのブッシュ大統領が確信に満ちた演説で「核兵器や生物化学兵器は必ずある。これを隠し続けるフセインは悪玉だ。抹殺しなければならない」と世界に呼びかけて戦争を始めた。イギリスのブレア首相がこれに応じて参戦した。日本の小泉首相も戦争には参加出来なかったが、全く同意見で賛成、支持した。

 そして、戦争の方は40日で終わったが、その大量破壊兵器とやらはカケラも出なかった。そこで、各国の中でこの不審さを騒ぎ立てる声が次第に大きくなってきた。「本当に核兵器はあったのか」「無いのに戦争を仕掛けられ3240人もの民間人が死んだ、としたらイラク戦争は本当に正義の戦いだったのか」という意見は一向に消えそうもない。

 我が国の国会でも、先日の党首討論で野党各党とも、この点で小泉首相を集中攻撃した。それに答える小泉さんの論理は一見、切れ味鋭いようで、どこか奇怪しいのだ。小泉「大量破壊兵器が無いというが、フセイン大統領も見つかっていないでしょう。見つからないからといってフセイン大統領が存在しなかった、と言えますか?言えないでしょう。(核兵器もこれと同じ)」という理屈である。確かにフセインが見つからなくても、存在しなかった、ということはない。れっきとしてイラクに君臨していた。でも、小泉さんの理屈はここが違うのだ。フセインは万人が見ていた。でも大量破壊兵器は碓も見ていないのだ。だから、フセインは発見されなくても存在したことは万民が知っているが兵器の方は見つからなければ、存在したことは信用出来ないのだ。小泉理論はここの所を巧みにスリ替えている。ブレア首相の方も「今も捜しているから、そう慌てないで」と下院で必死に防戦中なのだが、核の存在を証明した資料に改ざんの疑惑まで出ている。

  今回の米国のイラク攻撃は、いま一つ胃袋にピタリ落ちつかないところがあった。独裁政権に大量破壊兵器を弄ばれていては怖くてしょうがないのは分かるのだが、だから圧倒的な軍事力で直接原因の無いのに戦争を仕掛け、政権を崩壊させていいものなのか、この点が分からないのだ。冷戦時代と違う“超大国が一国だけ”というのも、かえって危うさが気になって仕方がない。
                    (2003・6・18)
元福島民報社専務取締役
編集局長 星 一男