経営者のための実務イロハ講座
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人事の硬直化防ぐ社内FA広がる
社員のキャリア設計にも効果

 自分の上司を通さずに希望する部署への異動を申請する「社内FA(フリーエージェント)制度」を導入する企業が広がっている。導入企業の目的は人事の硬直化を防ぐとともに、社員にキャリア形成の自己責任意識を持たせ、能力と士気の向上につなげようというところにある。また人材の社外流出を防ぐのも目的だ。

 命名の由来はプロ野球からきており、終身雇用制の崩壊とともに登場し、日本独自に発展してきた。日本の場合、社員個々人が自分のキャリア設計に責任を持つ点が特徴だ。
これまで導入している主な企業は東芝、デンソー、日立製作所、NECシステム建設、旭化成などの大手企業が中心であるが、ここにきて中小企業でも導入を検討する動きがでてきた。

社内FA制度では社内資格や勤続年数などで制限する条件付きのケースが多い。
NECの特徴は、より早い段階から社員自らキャリア形成に取り組んでもらおうという狙いがある。異動申請はいつでもでき、受け入れ部門が主体となって書類審査と面接を実施、合格すればすぐに異動する。募集方法は、 各部署が求める人材像が分かるように社内イントラネットで情報を開示している。

 旭化成は3月の分社化に伴う措置だが、特定部門対象。独立採算性の分社化は、ともすれば優秀な人材を手放さず、人事が硬直化する恐れがあり、これを防ぐのが目的で一定期間ごとに異動する制度も検討中とのことだ。

固定資産税の新縦覧制度が始まる
他の土地等の評価額比較が可能に

 2002年度税制改正で新しい制度となった固定資産税の縦覧が、4月1日から各市区町村でスタートしている。新縦覧制度は、・他の家屋・土地の評価額を見て、自分の評価額が適正かどうかを確認できるようになったこと、・固定資産課税台帳の閲覧制度と固定資産税の評価額等の証明制度が創設され、借地人・借家人が借地・借家対象資産の固定資産税額を閲覧できるようになったことなどがポイントだ。

 縦覧期間は、「4月1日から4月20日または納期限の日のいずれか遅い日以後の日まで」とされ、例えば、東京都は4月1日から6月30日までの2ヵ月間、横浜市では4月1日から同月末日までの1ヵ月間と、市区町村によって異なっているので注意が必要だ。
 縦覧の対象は、固定資産課税台帳から土地・家屋の価格等が記載された縦覧帳簿に変わった。
家屋価格等縦覧帳簿には、一戸ごとに、家屋の所在・家屋番号・種類・構造・床面積・価格が、また、土地価格等縦覧帳簿には、一筆ごとに、土地の所在地・地番・地目・地積・価格が、それぞれ一覧表形式で記載されている。

 これまでの縦覧対象である土地・家屋課税台帳償却資産課税台帳閲覧制度の対象とされ、本人の資産に係る部分はいつでも閲覧できることになった。つまり、借地人や借家人も閲覧できることになり、固定資産税の上昇などを理由とした土地・家屋の賃借料の値上げなどに対する確認ができるようになったわけだ。

IT関連中心に関東で500件超
1円資本金の特例利用起業数

「1円でも会社設立ができる」2月1日に施行された最低資本金規制特例(中小企業挑戦支援法)の活用数が関東圏の1都3県で500件を突破し、全国のほぼ7割を占めていることが関東経済産業局の報告で分かった。

 同局によると3月末までの会社設立の申請件数は、東京都が338件で全体の6割以上を占め、これに神奈川県94件、埼玉県61件、千葉県45件が続く。同局には4月に入り1日20〜25件の申請があり、また、経済産業省の調べでは4月末現在全国で761社が誕生したという。

 業種の特定は定款内容が多岐に渡るため分類が難しいが、IT・ソフト関連やコンサルティング、通信教育・出版が中心で、「小さく生んで大きく育てよう」とばかり、少ない資金で事業展開ができるベンチャー系の業種が多い。注目すべきは、経営者の4人に1人が女性という。

異色なのはマグロ養殖で全国的に知られる近畿大学水産研究所の教授や同校職員が、資本金5万円で高級魚販売の会社を興した

一方でこの特例措置に「効果は限られる」と見るむきが少なくない。
例えば事業の成長にはどうしても一定額の資金が必要となること。また会社を興すことだけが目的ではないこと。法人組織は社会的信用を得る利点はあるが、多出すればその効果は薄く、悪用も心配されるなどだ。むしろソフトを一人で開発するような「学生ベンチャー」向きとの声が強いのも事実だ。


ローン控除再適用での賃貸に注意
駐車場賃貸は家屋の賃貸にあらず

 2003年度税制改正で認められた住宅ローン控除の再適用は、再居住した年に家屋を賃貸していた場合には翌年からの再適用となるが、家屋を親族にただで貸し付けていた場合や、庭の一部を駐車場として貸し付けていた場合、また、当初住んでいたときから貸店舗併用住宅だった場合など色々な賃貸のケースが想定される。

 まず、家屋を親族にただで貸し付けていた場合については、法律でいう「賃貸」とは民法に規定する有償の「賃貸借」をいい、無償で貸借するいわゆる使用貸借は含まれないことから、家屋の賃貸には該当せず、再居住した年から住宅ローン控除の再適用が認められる。

 次に、自家用車の駐車スペースを貸し付けていた場合や、庭の一部を整地して駐車場として貸し付けていた場合では、土地の賃貸であることから、家屋の賃貸には該当しない。ただ、後者のケースで貸し付けた土地は居住用とは認められないことから、住宅ローン控除の再適用に際し、その貸し付けた土地に係る住宅借入金等の年末残高を除外する必要がある。

 最後の貸店舗併用住宅のケースでは、もともと店舗部分は住宅ローン控除の適用を受けられないことから、再居住の年に貸店舗として賃貸していても「家屋を賃貸していた場合」に該当しないことになる。もちろん、貸店舗併用住宅のうち居住用部分を、再居住した年に賃貸していた場合は、家屋を賃貸していたことになり、再適用は翌年からとなる。

首都圏から火がついた!
中小企業に広がる日本版401k

 首都圏の中堅・中小企業で確定拠出型年金(日本版401k)導入の動きが広がっている。
厚生労働省の調べでは401k導入が始まった01年10月から今年3月までの期間に、1都3県(東京、神奈川、千葉、埼玉)での導入企業は202社。これは全国361社の約56%にあたる。
このうち約半分が中堅・中小企業とみられる。

 導入企業の多くは適格年金など、企業が運用不足分を補てんする確定給付年金からのシフトである。この背景には、株価低迷で運用利回りが悪化していることが上げられる。これまでは導入にあたって必要な従業員教育などの負担が重いとして見送っていた企業でも積極的に導入し始めたようだ。

 導入に至った理由は「本業以外で会社の収益が左右される事態を防ぐための手段」に集約されるが、さらには「会社は積立不足のリスク回避を目的としながら、社員は資産運用の意識を高めることでスキルアップにつながる」という一挙両得の副次効果を見込んだ声も数多い。

 こうした動きに対応するため、日本商工会議所は「商工会議所年金教育センター」を設立した。3月末現在で上級ファイナンシャルプランナーら200名余りの登録講師を擁して、各地の商工会議所などで開く年金セミナーや相談会に派遣するなど、中小企業の導入を後押しする態勢を整えており、ここにきて全国的にも一気に広がりを見せる気配である。


今注目される「個人向け国債」とは
額面1万円で変動金利制・元本保証

 今年3月から売り出された購入者を個人に限定した満期10年の「個人向け国債」が注目されている。100万円を普通預金に預けて1年間でたった10円(利子率0.001%)という超低金利時代に、政府が利子や元本の支払を保証する国債は魅力的な商品だ。

 個人向け国債は、・最低額面金額が1万円(従来の国債は5万円)と少額での投資が可能、・半年ごとに実勢金利に応じて利率が変動する変動金利制、・償還は10年後だが、発行後1年経過すれば中途換金が可能、といった点で、従来の国債に比べて、個人資産家がより購入しやすい商品となっている。

 年2回の利払期における利率は、基準金利から0.80%を引いた値。基準金利は10年固定利付国債の入札結果から算出する複利利回りで、それに連動して変わるが、下限が0.05%に決められているため、元本割れするリスクがない。

 発行後1年経過すれば中途換金もできるが、直近2回分の利子相当額が解約手数料として差し引かれる。この利子相当額は税引き前の計算を行うことなどから、短期での中途解約では投資金額を下回る可能性がないこともないが、基本的に元本は保証されるといってもいい。

 ところで、この個人向け国債の税制上の取扱いについては、導入前に一時全額非課税にするなどの優遇措置が検討されたが、結局、利息については利子所得として20%(所得税15%、住民税5%)の源泉徴収による一律分離課税とされた。

 

キーワード

最低資本金規制特例「中小企業挑戦支援法」の特例のこと。会社設立時の最低資本金(株式会社1千万円、有限会社300万円)が設立後5年間に限り免除され、資本金1円会社も可能となった。ただし創業5年以内に最低資本金以上の増資をすることと、毎年、決算状況(貸借対照表、損益計算書、利益処分案)を経済産業局に提出する義務がある。利益は増資に当て最低資本金に達するまで配当できない。経済産業省は現在年18万社の起業数を06年には32万社にする見込み。

キャリア設計
生涯計画、経歴計画、専門的な訓練を受けて自分の能力を高めるような計画づくりのこと。この原型はキャリアプログラム(経歴管理制度)という人事管理制度で、1955年アメリカの連邦公務員の人事管理に採用したのが最初。日本では製造業など技術革新の著しい企業が導入をはかった。本来は従業員の経歴や、現在の職務、将来の希望する方向などから一人ひとりの特性をつかみ、この特性に基づき従業員の配置を合理的に行い、人的能力の開発にも役立てようというもの。

確定拠出型年金
決まった掛け金を毎月拠出し、その積立金の運用次第で将来受け取る年金額が変わる企業年金制度。アメリカ内国歳入法の401条k項で確定拠出型年金についての税制優遇措置を定めてから急速に発展した。日本では01年10月の法施行で導入が可能となった。従来型の確定給付年金に対して、確定拠出年金は個人の運用成績次第で将来受け取れる給付金が決まってくる。企業側には決まった掛け金を拠出しなければならないが、資産運用リスクを直接背負うことはなくなる。