介護進出は7.69%に過ぎない?
疑問はなぜ「いま」この調査なのかだ

 福島県建設業協会は数年前から介護ビジネス事業の進出を決定し、ホームヘルパーなどの資格者養成を図り積極的に介護ビジネスに取り組んできた。今月はじめには、福島市飯坂町の飯坂温泉内に住宅型有料老人ホーム「涼風苑飯坂」を完成させ、県の認可が下り次第、入居者募集を開始する手はずになっているという。ちなみに入居するにはAタイプ(一人部屋)の一時金は最低で1300万円。Fタイプ(2人部屋)は1900万円が必要となる。それに月々の管理費と食事代14万円と電話、テレビなどの契約金は別途必要だと聞いていた。「ちょっと金に余裕がないと手は出ないな〜」など独り言を言っていた矢先に、福島県建設業協会が会員の企業に異分野進出に関するアンケート調査をまとめたという記事が福島民報の15日付に掲載され興味深く拝見させていただいた。(写真は福島民報4月26日付)

 「もっと底が知りたい!」という興味から勝手に分析して見た。協会員の会員数を現在390社(14年4月現在)と仮定して、すでに異分野進出を果たした企業約90社(22.8%)が建設業以外の分野ですでに活躍していることになる。さらに取り組もうとしている企業約33社(8.3%)を加えると約123社(33.1%)が新分野に興味を示したのである。会員3社に1社は明日の建設業に何らかの不安を抱き「先手必勝」を狙った。

 最も興味をひいたのは、異分野進出に「取り組んだ」または「取り組む予定」の企業約123社(31.1%)のうち協会本部が会員の支援策として打ち出した介護支援事業分野にはそのうちの約30社(24.4%)が取り組んでいる。全体から見たらわずか7.69%に過ぎないことになる。介護支援以外の分野に進出した残りの企業93社は建設業に関連する住宅リフォームに約半数の約57社(46.7%)が進出、ほかに物販、人材派遣などに活路を求めている。

「介護」に興味ある企業は約27.6%!

 さらに協会本部が鳴り物入りで世にデビューさせた「介護関連事業」に対する興味があるか、に対しては約94社(27.6%)が「ある」と答えたのに対して155社(39.9%)が「ない」と答えている合わせると回答は67.5%なので残りの32.5は%は無回答だったのか。「興味ある」と答えた企業の事業は住宅のバリアフリー化などのリフォーム、施設建設、施設運営と続いているようだ。「ない」と答えた企業は「余裕がない」と「支援してくれるところがない」と答えている。結論から言うと約390社のうち介護関連に興味を示しているのはわずか約94社の会員企業しか興味を示していないことになるのである。(写真は福島民報5月15日付)

 不思議なのは、この調査がなぜ「いま」行われたかである。介護関連事業に関して言うなら、会員の3割にも満たない企業しか興味を示していないとするなら、積極的な本部の姿勢とは裏腹な結果が表れていることになる。また、介護ビジネスに参入を決めた際には、こうしたアンケート調査や会員の生の声が反映された結果なのかという事にも繋がる。それは本当に介護ビジネスが会員の支援策だったのかという疑問も出て当然である。

メロン栽培に賭ける一建設会社の取り組みも

 読者諸氏はまだ覚えているだろうか。NHK教育番組で毎週土曜日の午後9時から放送している「21世紀ビジネス塾」で建設業協会の介護ビジネスが取り上げられたことを。ちようど1年前の4月20日に放映された「大量失業は防げるか。〜公共事業費削減に揺れる建設業界〜」である。画期的な出来事として注目を集めた番組であった。(詳しくはhttp://www.nhk.or.jp/business21にアクセスして過去の番組情報から入り14年度放送分から拾う)

 だが同じ番組の中でもう一つのビジネスも紹介された。それは北海道で農業を始めた建設会社の取り組みであった。メロン栽培に賭ける一建設会社の取り組みも紹介されている。どちらが良いとか悪いとかを論じる気はない。ただ、取り組みには大方の意見、すなわち大半の賛同を得て、どちらも事業展開に踏み込んだかどうかという点である。

16日の同協会の総会で再選を果たした佐藤勝三会長は介護事業を中心とする異分野進出の実践に取り組むだろうが「異分野進出の高まりはあるが、介護への取り組みは、まだまだ少ない。企業が柔軟に新事業に取り組めるように支援を続けたい」とアンケート調査の結果を結んでいる。
主幹 富田正廣